「官邸意向」を指示か。統計不正「真のキーマン」政治家の実名

 

酒光氏の「今、落ち着いている」は何を意味するのだろうか。政策統括官(統計担当)は昨年7月、酒光一章氏から大西康之氏に交代した。大西氏の言うことが本当なら、酒光氏を国会招致したほうがはるかに有効ではないか。

しかし先述した通り、酒光氏も不適切な操作をやりたくてやったわけではないだろう。官僚たちを“政治主導で動かした人物がいるとすれば、加藤勝信・前厚労大臣現・自民党総務会長しか考えられない

加藤氏が毎月勤労統計に注目するきっかけとなったのではないかと思われる国会での質疑がある。2018年1月31日の参院予算委員会。

小川敏夫議員 「実質賃金、この5年間で下がっているんですよ。…ところで、昨年、消費者物価が0.5%上がりました。ですから、年金も同じように上げないと年金生活者は生活が苦しくなるんですが、年金は据置きだそうです。どうしてこれ、物価が上がったのに上げないんでしょうか」

 

加藤厚労相 「物価の指数は0.5%で、名目手取り賃金変動率がマイナス0.4%となっており、法律に基づいて据え置きということになったところです」

 

小川議員 「物価が上がったけど、実質賃金が下がっているからということでした。これから明らかなように、アベノミクスによって賃金下がっているんじゃないですか」

名目手取り賃金変動率は、物価変動率×実質賃金変動率×可処分所得割合変化率で計算される。30年度年金改定における実質賃金変動率はマイナス0.7%で、名目手取り賃金変動率はマイナス0.4%と算出されている。

このような質問に対して安倍首相に同調し賃金上昇を主張すれば、年金据え置きと矛盾してしまうのだ。

2017年は名目、実質ともに賃金は下降しており、2018年にはなんとしても上昇に転じさせねば、アベノミクスの失敗は隠しようがなくなる

安倍首相に重用され、内閣官房副長官、一億総活躍担当大臣などを歴任、ポスト安倍の呼び声さえかかる加藤氏が、厚労相だった時期に平均賃金の数値のもととなる毎月勤労統計調査に強い関心を持っていたのは間違いない。

1月の毎月勤労統計の速報値が公表されるのは3月である。その前に、酒光一章氏を大臣室に呼び、加藤厚労相が「統計改革が必要だ」などとつぶやくだけで、酒光氏に前例踏襲を覆すモチベーションが生まれたかもしれない。局長級である酒光氏に、事務次官ポストへの色気がなかったとは言えないだろう。

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