「官邸意向」を指示か。統計不正「真のキーマン」政治家の実名

 

加藤前厚労相が彼らに何らかの示唆あるいは指示をしたかどうかが今後解明すべき最大のポイントだ。

今、大西康之氏が国会に招致されているが、彼は引継ぎを受けただけで、真相をどれだけ知っているかは疑問だ。

本来、国会で問いただすべきは加藤前厚労相石原氏酒光氏の三人であろう。

厚労省管轄の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の理事長、樋口美雄氏が委員長をつとめる特別監察委員会が、驚くべきスピードでまとめた調査報告書に、石原氏、野地氏、酒光氏、大西氏からヒアリングしたと思われる箇所がある。

もとより厚労省から予算配分を受けている独法の理事長をトップとするこの調査に対し、甘さを指摘する声が多い。対象者の3分の2に身内の厚労省職員が聞き取りをしていたこともわかり、第三者性が疑われたため、再調査をしている最中だ。

なぜ不適切な復元操作が行われたのかなど、肝心なところは今のところ全く解明できていないが、この報告書のなかから糸口は見いだせるかもしれない。気になるところをまとめてみよう。I、J、Hといった人物名で記載されているが、経緯や時期から推定した実名をあてはめた

雇用・賃金福祉統計室長、石原典明は、これまでの調査方法の問題を前任の室長から聞いていた。東京都の事業所に関する復元処理による影響については、「正直、誤差の範囲内であると思っていた」と過小評価した。

政策統括官、酒光一章は2017年度の冬、石原から「東京都については全数調査を行っていない」と説明を受けた。その際、修正を指示したと述べているが、その後の処理は石原に委ね、放置した。

野地祐二は、2018年1月調査以降の数値の上振れについて、前任者の石原から東京都分の復元の影響は大きくないと聞いていたため、全数であるべき「500人以上事業所」の抽出調査を、漫然と継続するのみならず、酒光の決裁を経た上で神奈川県、愛知県、大阪府にも拡大しようとした。

野地は、2018年12月13日に統計委員会委員長に説明が必要になったことから、これまでの調査方法の問題点を初めて大西に報告した。大西と野地が、厚生労働大臣に報告したのは12月20日だった。

2月12日の衆院予算委員会で、大西氏に小川淳也議員がこう質問した。

酒光氏は統計不正を知っていた。昨年7月、それについての引継ぎは本当になかったのか。野地氏にも騙されていたことになるが。

これに対し大西氏は酒光氏からの引継ぎ時に統計方法の変更について「落ち着いている」とひとことだけあり、それ以上の説明は受けていないと証言した。野地氏からも抽出調査の復元については何ら知らされていなかったと語った。

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