努力を放棄させる可能性も。注意すべきポジティブシンキングの罠

 

この考え方からすると、牛乳が半分残っている状態は、ただの事実でありポジティブ・シンキングとは無関係と捉えます。

これに対し、現状肯定思考は前向き思考とは関係がありません。とにかく現状を肯定してプラスに考えるようにする方向です。

現状肯定思考を使うときは、注意が必要です。たとえば、営業成績が悪かった場合に、「ああ大丈夫。まだ自分の下に2人いる」などと考える可能性もあります。現状を肯定してプラスの感情にするのです。しかし、こう考えると、努力や工夫をしなくなってしまいます

確かに、こう考えることで気分は楽になりますが、前向きではなく自分を向上させることもできません。精神的に辛くて仕方なかったり、精神的に弱かったりする場合に、精神的に楽になるには、現状肯定思考を意識的に使う、ということになるかもしれません。

しかし、自分の現状を不十分と考え、もっと向上したい、というときに、現状肯定思考を使うと使い方次第で努力を放棄する方向に向かう可能性がある、ということは憶えておかなければなりません。

ポジティブ・シンキングは善の考え方のように捉えられていますが、何がポジティブ・シンキングなのか、を考えていないと、本来の目的から離れていってしまう可能性がある、ということですね。

今回は、ここまでです。

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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