まず「横着ファイリング話法」では、話をしなくてはいけない時は、できるだけ「楽に、横着に」なることばかりを考えること。そのために、今から自分が話す枠=空フォルダーを、先に自分で用意する、しかもその話す枠は、できる限り、厳密な定義と範囲の限定が必要、でしたよね。
しかし、この質問をされた現状では、何をどう話せばいいか、空フォルダーの用意もなければ、増してやその範囲も限定できない状態…そんなときには、即答で話し始めながら、同時に、自分の頭の整理のための情報・考えの洗い出しをしてしまえばいいのです。
話すことで自分の理解を促進しつつ、話の枠=空フォルダーだけを、たくさん作ってしまう。そんなことができるのです。
例えば、上記の「人口減少化とわが社」という、想定外の質問に対して答えるとすれば、「日本の人口減少は現状では避けられない、という前提で話しますと、原因は、少子化、高齢化、それによる問題点としては、国内消費・マーケットの縮小、国際的な競争力・影響力の減退、労働力の不足、地方の過疎化、都市部への人口集中など、いっぽう我が社はといいますと、まず現状では、主力事業が〇〇、××、企業哲学は…、得意とする分野は…、売り上げ収益の国内外の比率が…などなど」。
…と、思いつく限りの要素だけを列挙してしまいます。このような、「話を作る過程をも話して聞かせてしまう」ことで、
難問を問われても即答で話し始めることができ、聞き手には、「そうか、この人はいろいろなことを考えているんだな」。と、過小評価される余地を与えません。そしてその結果、今から自分が話すべきことの、空フォルダーだけが出来上がった、というわけです。
こういう話し方が「即答」でできるのは、要素を列挙しただけだからです。質量の軽い空フォルダーだからです。脳内の反応が早いから、サクサク話ができるんですね。
同じ理由で、逆に注意すべきなのは、一つ一つの要素について、ここでは項目を挙げるだけにとどめること。いきなり詳細を語ってはいけない、という点です。
あくまで、「話の持ち札」に名前を付けること=空フォルダーを、中身を定義しただけの空の状態で持っておくこと。「高齢化という空フォルダー」「労働力の不足という空フォルダー」「企業哲学という空フォルダー」etc.ということです。
まずはテーマの洗い出し=空フォルダーの創出、そしてその後の、話の枠の限定だけに専念すべきこの段階で、詳細を語ろうと、頭の中の膨大で雑多な情報にタッチしてしまうから、話が長くなったり、何を話しているのかわからなくなってしまったりするわけですね。
ここまでは、まず、想定にない話をしなくてはいけない局面で、まだ結論に至ったことのない内容を話すときに、話すテーマのリストアップをしながら、自分の頭の中を整理し、なおかつ即答で話し始める、その初動について、解説しました。
次回は、そうして列挙した空フォルダーを、持論にまで昇華させる思考回路について、お伝えしますね。
image by: metamorworks, shutterstock.com