迫る中国企業。なぜ「モノづくり大国」ニッポンは凋落したのか?

shutterstock_1025040838
 

かつてモノづくりにおいては世界一の評判をとっていた我が国ですが、今となってはその凋落ぶりが目立つばかりとなっています。ジャーナリストとして数々のメディアで活躍中の嶌信彦さんは自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、あらゆる面で国際的地位が低下する一方の日本の現状を記した上で、「工業大国として岐路に立っている可能性」を指摘しています。

不祥事多発と5Gに遅れ

日立製作所と系列10社が外国人技能実習適正化法に関し違反があるとして国の機関から改善指導を受けていた。日立といえば、財界総本山・経団連の会長を輩出しているだけに反響も大きかった。しかし、日本の大企業でこうした問題点を抱えている企業が最近、急速に目立っている。

ここ1~2年に企業不祥事で名前の挙がった企業を並べてみると、商工中金、日産自動車、富士ゼロックスの販売会社、神戸製鋼所、東芝、三菱自動車、東レ、シャープ、三菱マテリアル、マンション工事の杭打ち工事で旭化成子会社の旭化成建材と工事に関わった三井住友建設、日立ハイテクノロジーズ、電通の違法残業、東洋ゴム工業、タカタ──等々きりがないほどだ。

いずれも検査データの改ざん、無資格の社員による完成車検査38種、不適切な会計処理、架空売上と利益水増しの粉飾、性能に関するデータ改ざんなど、その内容も多種多様を極めている。

日本はモノづくりにおいては世界一の評判をとっていた国である。手先が器用で勤務態度が真面目で、納期に遅れることなく商品を納入し、出来上がった製品の質も折り紙つきといわれるほどだった。1980年代には、その日本のモノづくりの秘密を研究しようとしてアメリカの大学で講座まで設けられたほどだった。60年代頃までは、日本の製品にそれほどの評判はなく、アメリカの大手自動車メーカーは、日本車を買って全て分解し自社製品と比べる実験をしたが、当時は「まだ日本車は恐れる必要なし」という結論だった。

それが高度成長期に入り、各社が次々と研究投資を行ない、最新の設備投資を導入するとともに、社員教育に力を入れ海外に研修生を派遣するようになってからメキメキと実力を上げ、良質で廉価な商品を作るようになってきたのである。70年代に入ると日本の輸出品は世界で飛ぶように売れ、アメリカとは貿易摩擦が日常化するまでに至った。日本は世界一のモノづくり大国と呼ばれるほどになったのだ。

print
いま読まれてます

  • 迫る中国企業。なぜ「モノづくり大国」ニッポンは凋落したのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け