私が今回のケースを見るにあたり、いろいろな情報を総合して考えると浮かび上がってくるのが、「大統領派と首相派の政治ゲーム」のなれの果てです。
現在の首相は大統領から一度罷免されており、最高裁までもつれた訴訟を経て、首相が権力を回復しています。内政を見れば、行政や経済政策は首相とその内閣に権限があるが、国家安全保障と治安は大統領権限と憲法で定められていますので、考えたくはないですが、「首相派による大統領派への政治的な攻撃」ではないのかとの見方です。
言い換えると、「国家安全保障と治安は大統領の責任であるにもかかわらず、大統領は事前に入った危険な情報を見落とし、250人を超える死者と非常に多くの被害を出すに至った」として、彼の大統領としての資質を問うというような形です。
テロそのものを首相派が主導したとは考えづらいですし、考えたくもないですが、あまりにも謎が多すぎて、そのような勘繰りさえしてしまう状況です。
より組織的な捜査を行うために、スリランカ政府はアメリカのFBIなど捜査機関にも協力を要請し、いろいろな情報を集めていますが、 あまりにも謎が多い今回の悲劇に対し、『真実』は恐らく闇の中に封じ込められ、最も政府の体裁が保たれるような帰結を迎えるような悪い予感がしてなりません。
普通の日常の平穏が一瞬にして奪い去られる事態が、悲しいかな、多発する傾向にあります。世界は一体どこに向かい、何を目指すのでしょうか。
今回の残忍なテロ事件によって生命を奪われ、未来を奪われた全ての魂に祈りを捧げつつ、今回の解説を終えたいと思います。
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