よほどのガンマニアでもない限り、日本人にとってはあまり耳馴染みがない『caliber』(銃の口径、キャリバー)という英語があります。この『caliber』という言葉について考察するのは、メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さん。銃の威力を決めるものが『caliber』ではないことから、人間の魅力を決めるものも個人の器量や才覚とは違う部分にあるのかもしれないと思考します。…どういうことなのでしょうか?
『caliber』のこと
突然だが「9、357、40、45」。何の数字だか分かるだろうか。これで分かれば相当なものだが、それぞれの数字に単位を付ければ映画やゲームなどで聞き慣れたものになるのではないだろうか。
即ち「9mm、357口径、40口径、45口径」。銃の口径である。単位が二種類あるのは、欧州メートル法と米国ヤード・ポンド法が混在しているからである。因みに口径は英語では「caliber」と言い、100分のnインチで表わされる。
1インチは2.54cm(25.4mm)だから、40口径は100分の40インチで10.16mm、45口径は11.43mm、357は35.7と読んで9.0678mmとなる。
よく巷間では大口径の弾ほど威力があるように言われているが、これは厳密には誤解である。仮に全く同じエネルギーで射出されたなら、寧ろ大口径弾ほど威力は弱くなる。
よく考えれば当然である。弾頭が重い分、初速は遅くなるし、大きい分、空気抵抗を受けるからである。弾頭だけに限って言えば、小口径弾ほど初速は速くなり命中精度も上がるのである。
では銃の威力は何に依存するのか。それは射出エネルギーの大きさである。簡単に言えば火薬の量である。
先に挙げた諸口径はピストルのものだが、口径9mmに対して火薬を入れる薬莢の長さはと言うと19mmである。一方、映画などでよく見かけるM16やM4A1などの軍用ライフルは口径5.56mmに対し薬莢長は45mmである。
より小さな口径の弾をより多くの火薬で打ち出す訳である。当然威力は大きい。このような銃器における設計思想を命中力・貫通力重視の小口径高速弾プログラムと言ったりする。
口径は小さくても打ち出すエネルギーが大きければ銃の威力は上がる。このことを念頭において少し考えを飛躍させてみる。