銃の威力を決めるのは口径ではない。人間にも同じことが言える

 

銃などの口径を表す英語「caliber」にはもう一つ別の意味がある。それは「力量」とか「才覚」といった人間の能力の大きさを表すものである。例えば「a person of a minister caliber」と言えば「大臣級の器の人物」という意味である。

仮にここに共通点を見出すなら、面白いことが言える。力量や才覚などの人間個人としての器は小さくても、背中をぐっと押してくれる誰かの力が強ければコンビとしては高スペックということである。

とすれば、自分の能力の低さを嘆く必要などは全くなく、それより寧ろ背中を押してくれる仲間の不在こそが問題ということになる。

にもかかわらず、人間は己の「caliber」の大小のみを気にしているように思える。たとえ「small caliber」でも「high velocity cartridge(=高速弾)」になれるならそれで十分なのである。

そして、可能ならば優れた射手が一人いれば猶有難い。狙いを定め、タイミングを計り、呼吸を整え「今だ!」と引き金を引く。そういった存在は銃本来の性能を十二分に引き出してくれるに違いない。

一人ふんぞり返って「どうだ、俺は器の大きい人間だろ」などと己の「caliber」の大きさを誇るような人間はその実、大して役には立たない

エネルギー溢れる仲間に恵まれた「caliber」の小さい人。逆説的ではあるが、それこそが本当に優れた人と言えるのかもしれない。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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