川崎「通り魔」事件の背景。なぜ無差別殺傷事件は起きるのか?

 

そこで今回は、2013年に法務省がまとめた「無差別殺傷事犯に関する研究」を取り上げ、紹介します。

本研究では無差別殺傷事件を、「分かりにくい動機に基づき、それまでに殺意を抱くような対立・敵対関係が全くなかった被害者に対して、殺意をもって危害を加えた事件」と定義。

2000年~2010年までの間に判決が確定した無差別殺傷事件で、刑事施設に入所した52人を対象に行っています。

その結果、

  • 犯人の多くは男性であり、年齢層は一般殺人と比べると低く、高齢者は少ない
  • 年齢層が低い者は親と同居している者が多いが、それ以外は単身で生活し、配偶者等と円満な家庭生活を送っている者は少ない
  • 犯行時に異性の交際相手がいる者はほとんどいない
  • 犯行時に友人がいなかったり、交友関係が希薄、険悪である者が多数
  • 学校や職場に在籍していた時点から、友人関係を築くことができなかった者が多い
  • 就労経験があっても長続きせず、犯行時には無職や非正規雇用等の不安定な就労状況にある者がほとんど
  • 収入は少なく、住所不定だったり、社会福祉施設に居住するなど安定した住居がない者が多い
  • 犯行前に自殺を図った経験がある者が4割超と多く、引きこもりも2割
  • 犯行を相当前から決意していた者は少ないものの、犯行時にいきなり思い立ったものではなく、その前から犯行を決意した計画的犯行が多い
  • 犯行前に、医師等に犯行に関する内的衝動を相談していた者も一定の割合いた
  • 過去の無差別殺傷事件を明確に模倣して犯行を行った者は少なく、マスコミ報道によるアピールを明確に意図していた者も少なかった

また、被害者については、

  • 女性、子ども、高齢者などの弱者を攻撃対象として選定する場合が多い
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