トランプ発リーマン級大不況に備え日本が消費増税をすべき理由

 

日本経済の状態

2018年の経常収支を見ると、1兆円貿易黒字で大幅減少になり、1次所得収支が20兆円の黒字になっていることで、経常収支が19兆円の黒字になった。それと、インバウンドでの旅行収支が2兆円程度の黒字になっている。

しかし、日本から輸出できる製品は自動車8割で、2割が産業用機械、電子部品などである。しかし、徐々に日本の製品で世界に売れるものがなくなってきている。その代わりに、海外投資による配当金などの収入で補っている。海外工場の自動車と自動車部品の生産による利益が大きな地位を占めている。

日本の産業力が徐々に失われて、AV製品は、韓国と中国の製品に置き換わっているし、スマホやPCなどもダメになり、電子部品でも徐々に競争力が落ちている。半導体や液晶も負けている。半導体では、ソニーのCCDとパワー半導体しか競争力がない。このように、日本の競争力は、先進国と見なされない新興国と同程度の世界30位に転落している。

この状態が自動車にも来る。自動車も電気自動車が主流になり、自動車業界の衰退が起きて、あと5年程度で、経常収支も赤字になると予想されている。そのことでトヨタ自動車の豊田社長も危機感を持っている。

今の状態を放置して、競争力が一層落ちて経常赤字になっても、日銀が量的緩和を継続すると、当初は海外金融投資したものを売って資金を還流するために円高になるが、その内に超円安になる可能性が高くなる。

また、放漫財政のままで量的緩和を止めると国債の金利が高くなり、利払いの国債費の割合が上がり、予算が組めなくなる。このため、量的緩和で金利を下げた放漫財政から、財政健全化に舵を切り、量的緩和から離脱することが必要になっている。

このため、社会保障費の削減や税収を上げる必要になっている。法人税を上げることは諸外国との競争で難しいし、所得税をこれ以上上げることも難しいので、まだ低い消費税を上げることしかない。財政健全化を早く実現する必要になっているからだ。

もし、今消費税を上げないで財政健全化ができずに放置すると、どこかで超円安によるハイパーインフレになる。金融資産価値は10分の1以下になる可能性が高い。

そして、もう1つの心配なことは、中央銀行バブルが起きているのに、トランプ大統領が米中貿易摩擦を拡大して、いつかこのバブル景気を破壊して、世界的なバブル株価の大暴落が起きることである。バブル株価暴落になると、デリバティブ取引などに波及することでリーマン級の大不況になると見たほうが良い

今、この2つの危険な経済状態があり、それを放置できない。今はバブル景気が維持できているので、先に財政健全化のために消費税増税をするべきなのである。そして、1つの危険な状態を解消しておくことが重要である。

しかし、いつ株価の大暴落でリーマン級大不況が起きるかわからないから、起きたら消費税増税を中止すればよいことである。起きない限り、消費増税をして財政健全化しておき、その後の株価の大暴落に備えることである。そうすれば、株価暴落時に大きな財政出動が可能になり、対処できることになる。

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