障がい者雇用の現場で交わす「コトバ」に現れる、会社の「文化」

 

文化はその醸成された環境や習慣が蓄積された結果、知らずのうちに出来上がったアイデンティティのようなもの、会社の歴史ともいえる。法定雇用率に従い、一定規模の企業には障がい者を雇用しなければいけない状況は最近のこと。歴史の長い会社にとっては長年の文化とどう融合していくかも問われている。

大企業が特例子会社を作り、障がい者雇用を推進することにやりがいを見出して、特例子会社の管理職やスタッフになる人は、会社の中で新しい文化を作るやりがいからか、いきいきした言葉で、当事者を想い、そして行動している。先ほどの話で言えば、後者のタイプである。

実習前にも、採用できる基準として技術的なことではなく、コミュニケーションと他者との親和性であると明確にしていたので、実習の結果も誠実なコトバで評価してくれた。

支援の仕事のうち精神疾患者向けの就労移行の支援者は、言葉によって当事者の気持ちを左右するから、言葉に敏感である。自分の言葉が当事者にどのような影響があるかを考え、そしてその言葉が嘘であってはならないから、慎重かつ丁寧に言葉を紡ぐ。かといって、何とか働きたいと思いを受け止めての支援だから、その言葉は有機的な響きを持つもの、夢と希望が見えるものにもしなければならない。

そのような支援者と障がい者雇用を担当する企業の担当者が交じり合い、コミュニケーションの質を上げていけば、会社の文化は変わり、素敵なコトバが出てくるはずだ。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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