韓国に押された「失格」の烙印。交渉のプロが読む米朝会談の裏側

 

日本にとっても「核の脅威への対応」と「拉致問題の解決」という、対北朝鮮2面外交が本格化するチャンスでもあります。第3回米朝首脳会談が実現したことで、今、北朝鮮側が特段日本を必要とする場面は減ったかもしれませんが、中国に完全に飲まれてしまわないように、もしかしたら、日本をカードとして巧みに利用しに来るかもしれません。

総理官邸も外務省も恐らく先を見た戦略を練っていることと思いますが、アメリカや中国、そして北朝鮮の外交戦略とサプライズの応酬に翻弄されることなく、自らの立ち位置を明確に示しておくことが必要です。もし、これまでのように、後追いの対応になってしまうのであれば、恐らく韓国の様に埋没してしまうかもしれません。 確実に国際情勢における各国のバランスゲームの様子が変化してきています。その変化の波に乗り遅れないためにも、多面的に国際情勢を眺め、戦略的に対応を考えておくことが大事です。確実にこれから年末までの間に、米朝間の協議も、米中間の貿易に関する話し合いも、南シナ海問題も大きな動きを見せることになります。

そして、安倍総理が“仲介役”を買って出たイランをめぐる情勢も、まだまだ国際情勢においては非常に重要な目の離せない事態です。複雑極まりないこの混沌とした国際情勢における外交のかじ取りをどうするべきか、どの国も油断が出来ない情勢です。世界各国は、アメリカも含めて、まだまだ気まぐれな『トランプ劇場』に振り回されるようですね。

次はフランスG7後?「トランプ劇場」の法則

トランプ劇場といえば、ある一定の法則が見えてきました。トランプ大統領が何かしら劇場的な動きをする際には、必ずG7/G20の後だということでしょうか。

第1回米朝首脳会談(@シンガポール)は、2018年6月のカナダでのG7の後でした。そして、時をほぼ同じくして、第1弾の対中貿易関税措置の発動が行われています。

そして今回の大阪でのG20サミットを含む一連の日程では、米中首脳会談を通じて、一応、米中間での貿易に関する話し合いを再度トラックに戻し、急に板門店に赴いて第3回米朝首脳会談を開催し、そして韓国の文大統領を地獄に叩き落しました。

次はフランスでのG7ですが、それまでは、特段、何か大きな動きをすることはないように思います。フランスでのG7の前後、そして、来年、サウジアラビアで開催されるG20サミットの前後、そして、来年、自身が議長を務めるG7。何か大きな動きがあるとすれば、そのタイミングではないかと考えています。

 

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世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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