生き生きとした老後を送るためには、体のメンテナンスが重要です。歳を取るとまず足腰から弱り、簡単な怪我でも「寝たきり」につながることが多くなってしまうものです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、体に負荷をかけすぎず効率よく鍛えられるエクササイズ「スロートレーニング」について、わかりやすく解説しています。
超高齢化社会を乗り切る「筋トレ」の極意
超高齢社会へと突き進む日本では、ただ長く生き永らえるだけでなく、いかに元気に天寿を全うするかが問われています。
筋力の専門家として高齢者の体力づくりに取り組む石井直方さんに、生きる力を発揮し、充実した人生を謳歌する筋トレ法を伝授していただきます。
アメリカ以上に高齢化が進む日本では、転倒が元で寝たきりになってしまう高齢者が年間10万人にも上ります。私は、高齢者が安全に行えるトレーニング法の必要性を強く実感し、スロートレーニング(スロトレ)という方法を開発しました。
スロトレはその名のとおり、ゆっくりと体を動かすことで、体にあまり負荷をかけず、短時間に効率よく筋肉を鍛えることのできるトレーニングです。
体をゆっくり動かすのは、筋肉を持続的に緊張させ、内部の血流を制限するためです。それによって、筋肉を動かす時に発生する乳酸などの代謝物質が外に運び出されず、筋肉が激しく動いた場合と同様の効果が得られます。
長く健康を維持していくためには、体のどの部分も大切であることはいうまでもありませんが、とりわけ足腰は重要です。足腰の筋肉は加齢の影響を最も受けやすく、どんどん細く、弱くなっていきます。足は体の機能でいうとロコモーターと呼ばれ、ここが衰えれば思うところに移動できなくなります。
また、いくら足が丈夫でも、体の要である腰(体幹)が弱れば、ふらふらしてちゃんと歩けなくなります。足腰が衰えると自立した生活もままならなくなり、たちまち要介護となってしまうのです。
足腰が丈夫であれば活動の場も広がり、それが脳へもよい刺激をもたらしてくれます。まずは足腰を鍛えることが元気に天寿を全うする上でのとても重要なカギとなるのです。
ここで、足腰を鍛えるためのスロトレ「スロースクワット」をご紹介します。
■スロースクワットのやり方
- 両脚を肩幅くらいに広げて立ち、両手を真っすぐ体の前に伸ばす。中腰になり、両足のつま先を外側にそれぞれ30度くらい開く
- 椅子に腰掛けるイメージでおしりをやや後ろに引きながら、ゆっくりと4秒ほどかけて、膝が90度になるくらいまで腰を下ろす
- 息を吐きながら、ゆっくり4秒ほどかけて膝を伸ばし、立ち上がる。この時、膝を完全に伸ばしきらない段階で、2~3の動作を繰り返す
各々の体調に合わせて少しずつ回数を増やしていき、8回を1セットとし、休憩を挟んで3セットできるようになれば、お年寄りでもかなり筋力がついてきます。
※本記事は『致知』2015年7月号 特集「生きる力」より一部を抜粋・編集したものです。
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