進次郎氏と滝クリに「官邸結婚発表」を許した自民党実力者の実名

 

それにしても、8月7日の朝まで菅官房長官に何一つ知らせることなく待つ必要があったのだろうか。普通なら、時間的ゆとりをもって、電話をかけ、次のようなアポイントの取り方をするのではないだろうか。

「私、結婚することになりまして、近々、二人でごあいさつに伺いたいと思います。ご都合はいかがでしょうか」

会いたいその日にいきなり「今日、お時間ありませんか」と言うのは、いかに親しいといえど、小泉氏らしからぬ

ここからは、筆者の想像でしかない。

おそらく、礼儀正しい小泉進次郎氏は、普通のアポイントの取り方をしただろう。菅長官は、お相手が滝川クリステルさんと聞いて考えただろう。外で会っても目立つ。結婚が世間に知られていないうちにマスコミに見つかったら面倒だ。

それならいっそのこと、官邸を世紀のロマンスの舞台にしてはどうか。この国のトップから祝福を受けたうえで、官邸に詰めている記者たちの前で結婚を公表すればいいではないか。

菅長官は安倍首相のスケジュールをチェックし、8月7日の午後1時30分を指定した。安倍首相への挨拶は5分もあればすむだろうが、できればスケジュールの詰まっていない日がいい。

小泉氏らは、菅長官が指定した通りの日時に官邸を訪れた。「総理にも」と菅長官が言ってくれたのは、二人にとってはサプライズだったかもしれない。

安倍首相と直接連絡がとれるほど小泉氏は気安い仲ではない。どちらかというと、自分ファーストの安倍首相は“進次郎人気に複雑な思いを抱いているだろう。日頃の言動から、小泉氏もどこか、ソリが合わないと感じているふしがある。

菅長官のお膳立てにより、安倍首相は「おめでとう」のひと言で、ビッグカップル誕生にかかわる機会を得たし、小泉氏はこのサプライズでクリステルさんを感激させることができた。それをプロデュースした菅長官の株がぐんと上昇したということになれば、彼らにとってはいいことづくめだ。

だが、超有名人どうしとはいえ、醒めた目で見れば、一人の中年衆議院議員と年上女性の晩婚カップルにすぎない。なぜ彼らだけが、官邸で政治記者に結婚の発表をすることが許されるのか、という無粋な意見が出ても、おかしくはない。実際に、自民党内では、特権的地位を与えられた政界のプリンスへのやっかみか、批判的な声がちらほら聞かれたらしい。

国民的慶事のごとくショーアップすることを意識的に狙ったのかどうか、菅官房長官が、結婚報告の二人に対して示した心配りはあまりにスペシャルなものだった。

午後のテレビワイドショーの時間帯に、記者たちの目が光っている官邸を訪問すように設定するだけで、ことは思い通りに進み、予想もしないカップルの誕生に、日本じゅうが沸くことは誰でも想像がつく。

それにしても、この機転、この権勢。菅義偉とは、安倍政権のなかで、単純にナンバー2といってすまされない存在かもしれない。次期総理候補にも浮上してきたと聞くが、本人の気持はどうなのだろう。

菅氏はこれで小泉氏に恩を売った。自分が総裁選に出馬するとなれば、小泉氏が支持を表明してくれることで、勝ち馬に乗る議員たちの動きを引き寄せられる。逆に、小泉氏が総裁選にチャレンジする場合でも、その後見人的な立場を生かして、権勢を保ちうるという計算が働いても不思議はない。

今回の結婚報告ショーに限れば安倍首相は納得づくだろうが、昨今の菅官房長官の独断専行ぶりには側近にこぼすこともあるといわれる。

霞が関の幹部人事の実権を握っていることから、官僚が菅氏の顔色ばかりうかがっているというのが安倍首相の不満のタネだ。それでも、菅氏を頼りにせざるを得ないのも確かだろう。

菅氏の自信の裏側にあるのは、自民党の集票マシンである創価学会、憲法改正のパートナー日本維新の会、いずれの中心人物とも濃密な人間関係を築いていることだ。

とりわけ創価学会の政治担当、佐藤浩副会長とは昵懇の間柄だし、橋下徹氏の政界入りを後押しして以来、自民党大阪府連との対立をものともせず、維新との絆を大切にしている。

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