嫌韓で判明。正義の名を借りた中傷合戦で自己存在を誇示する人々

kawai20190904
 

一部の報道番組やワイドショー、週刊誌やネット上で「韓国批判」が繰り返されています。他者の気持ちを慮ることが美徳とされたこの国は、いつからこんな状況に陥ってしまったのでしょうか。健康社会学者の河合薫さんが自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、日本に「負の言動」があふれてしまった原因を探っています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年9月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

憎悪と怒りと暴力の負のエネルギー

週刊誌「週刊ポスト」(9月2日発売号)が「韓国なんて要らない」などと題する特集を掲載した問題の波紋が広がっています。

「嫌韓ではなく断韓」「厄介な隣人にサヨウナラ」「10人に1人は要治療―怒りを抑制できない韓国人という病理」etc.etc….

新聞広告にデカデカと書かれた文字を見て驚きました。そして、とてもとても残念に思いました。

どんな仕事にも大切にすべき有形無形の道具があり週刊誌のそれは活字”です。その「活字の力」を信じ、プライドにしている人たちが、扇情的な言葉を「これでもか!」というくらい使いまくった。自分たちの仕事を冒とくしたことと同義といわざるをえません。

発行元の小学館は「誤解を広めかねず配慮に欠けていた」と謝罪したそうですが、私は今まで活字媒体に育てられたきただけに残念でたまらないのです。

…なんか最近の日本社会って、憎悪と怒りと暴力の負のエネルギーが蔓延していますよね。

ひとつの事件をきっかけに新たな怒りが繰り返し生まれ、危うい発言をする人たちとその意見に追従する人たちが一気に盛り上がる。それでいて覚めるのが驚くほど早い。1週間、いや3日も経てば「何事もなかった」かのように過ぎ去っていくのです。

いったいなぜ、こんなにも負の言動があふれているのか?

対面でのコミュニケーションが基本だった時代なら、理性によって封じられていた感情がSNSの匿名性によって瞬時に放出されるようになった。それが大きな原因ではないかと、私は考えています。

匿名で人をこき下ろし「そーだ!そーだ!」と賛同されれば、「やっぱり自分は正しい」と安堵できる。“正義”の名を借りた中傷合戦に荷担すれば、自分の存在を誇示できる。

要するに、攻撃する行為の裏側には、「他者から評価されたい認められたいという自己愛が存在しているのではないか、と。自分の市場価値を見せしめるために、ときに偉ぶり、ときに正義を振りかざし、「自分の強さを誇示しているのです。

問題はこのあと、です。

自分の発言に酔っている人たちは、おそらく1ミリも想像していないでしょうが、暴力的な言動というひとつの怒りをきっかけに、新たな怒りが生まれそれがまた新たな偏見や差別を生むことになってしまうのです。

これは心理学用語で「抑圧された怒り(inhibited anger)」と呼ばれ、社会構造が生み出す情動のひとつです。

ただし、「抑圧された怒り」を自覚するのは極めてむずかしく、抑圧された怒りを秘めた人々が群衆になったとき暴力が生まれます。怒りのマグマが一気に爆発し暴力的で残虐な行為として発散されるのです。

どんな人であれ、悲しいことは悲しいしうれしいことはうれしい愛おしいものは愛おしい。そのことを1人でも多くの人が忘れなければ、憎悪と暴力に満ちた言動を少しなりとも減らせるのではないか。少なくとは、私はそう信じたいし、そうあって欲しいと願っています。

みなさまもご意見もお聞かせください。

image by: 대한민국 청와대 - Home | Facebook

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年9月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。

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