話題の「いじめ保険」。そもそもいじめ解決に弁護士は必要なのか

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いじめに関する弁護士費用の一部が負担される保険商品が話題となっています。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では、このような保険が当たり前になる社会の異常性を訴えた上で、「いじめ解決に弁護士は必要なのか」について論じています。

いじめ解決に弁護士は必要か

9月3日の昼にフジテレビさんから「取材したい」との電話が入りました。内容は「いじめ保険」についてどのように思っているのか、というものでした。「いじめ保険」は、弁護士費用の一部が補償されるという保険です。なお、大人へのいじめも対象になるというものです。3日の「ライブニュースit!」にてコメントの音声も流れました。ネットのFNN PRIMEにも「いじめ保険」加入者増 弁護士介入で解決へ」というタイトルで掲載されましたので、ご覧いただけると幸いです。

「いじめ保険」加入者増 弁護士介入で解決へ

ちなみに、同日には「通信制高校ナビ」においても「【いじめでつらい君へ】プロに聞くいじめから抜け出す方法」としてインタビュー記事が掲載されました。

せっかくの機会ですので、「いじめに弁護士は必要か」ということを考えてみたいと思います。実際、「弁護士をお願いしたいのですが」というご相談もよくいただきます。

前提として、知っておいていただきたいことが2点あります。まず、「弁護士費用が掛かる」ということです。一概には言えませんが、着手金として20万~40万円は覚悟しておく必要があると思います。この負担に対応するものとして「いじめ保険」が考え出されたのだろうと思います。

もう一点は、「弁護士さんの資質によって成否が大きく分かれる」という点です。一般的には、外部の法的専門家である「弁護士」が、学校に出向いたり、交渉の場に同席、あるいは電話で問い合わせをすることで、それまで頑なに対応を拒んでいた学校が態度を変えていじめ解決に向かって進むということがよくあります。ただ、うまく行かなかったという場合もあります。

「弁護士さんにお願いしているけれども、いじめが解決しない」という相談も届くことがあります。うまく行かない理由としていくつか挙げてみます。

  1. 依頼者側に立つべき弁護士が、学校側に立ち「学校の御用聞き」になってしまった
  2. 弁が立たたないため、学校側に反論できなかった
  3. 学校側の弁護士と知り合いだったために強く出れない
  4. お金は払ったけれど、何もしないで放置された
  5. 弁護士が内容証明郵便を出したが学校からは無視されて、いじめは止まらなかった
  6. 依頼者の要望を盛り込んだ書類をつくらず、勝手にすすめて失敗した
  7. 弁護士が自分の聞きたいことだけを聴いてきて、その他の話は聴こうとせず、被害者に寄り添ってくれない
  8. 学校側に「これからは弁護士さんと話します」と言われて、保護者や子供との話し合いを一切拒否された

どれもこれも、実際に届いた相談です。私たちが、このような事案をどのように解決に導いたかと申しますと、「保護者が主体となって学校と再交渉し解決したというものがほとんどです。

まずは、いわゆる、時系列に沿って作成した「いじめの経緯書」、並びに学校にやっていただきたいことをまとめて「要望書」という形で「文書」を作成し提示する。さらには、第三者を交えて交渉をしたり、上位の機関等を巻き込むなどして学校に「いじめに対応しなくてはならない」との考え方を持ってもらうという手順です(私たちのホームページに詳しく述べておりますのでご参照ください「いじめ解決方法」)。このような交渉によって、1週間もかからずに解決できる場合が大半です。

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