ネットは大荒れ。いじめ裁判で埼玉県川口市が放ったトンデモ発言

 

大人にできること

私は講演会や寄稿文などで、ざっくりと「今大人にできることはなんですか?」をテーマにしてくださいと頼まれることが多くある。直接、反応がわかる講演会では、多くの参加者である大人が、今のいじめの状況をどうにかしたいと考えていることがわかる。

そして、現場畑の私の意見に一部のインテリ層に、こう噛みつかれることがある。

「いじめ防止対策推進法によれば、その事例は適切ではないのではないか?」
「文科省のガイドラインでは、その学校の対応は違反ということになるが」

つまり、「法やガイドラインがある以上、そこを学校や教育委員会が守るは当然というのが大前提にある疑問だ。

知識や暗記が得意なインテリ層の方は、ここを信頼のもとにしているし、これだけの法やガイドラインがあるのに(守っているのが大前提)、こんなに重篤な事件が頻発するのか不思議なのだ。

簡単に言えば、川口市側の反応は多かれ少なかれ、多くの自治体で感じる空気であり、実務上、法やガイドライン違反があることが前提なのだ。

つまり、今大人にできること、特に直接的な保護者ではない大人にできることは、学校や行政がいじめに関する法律や文科省が定めたガイドラインに違反がないかを徹底的にチェックしその違反がある場合は徹底的に是正することなのだ。

さらに言えば、いじめ防止対策推進法には国の責務もある。

国の責務
第5条 国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
いじめ防止対策推進法

第3条基本理念
第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

 

2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。

 

3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

こうした議論が活発になると、教育界側は必ず、学校教員の働き過ぎ問題を出してくる。

これは問題のすり替えに他ならないが、現実的な問題でもある。

つまり、教員が足りないのだ。足りないのに、いじめの対応をせよ、新たな教育政策を実施せよ、国は言ってくるという現場教員の本音だ。

一方で、教員を増やすにあたっては予算がいるであろう。予算を増やす前に、今無駄なものはないかを見出し、業務を改善するのは当然だろうし、民間企業では当然行なっていることのはずだ。

そうした環境を作り出すために、何をすべきかこそが、大人世代のできることになるのではないかとも思うのだ。予算を決めるのが政治であるのなら、選挙権のある大人は政策に注目すればよい。民主主義では、その一票で社会が変わるのではないか。

ただし、すでに法で決まったものを守らないというのは、ダメなので、そこは大人が子供たちを守るためにも、徹底してチェックし、是正するべきだろう。

川口市は特にだ。川口市がいじめ防止対策推進法を守らず、子供達が自殺をし、居直って、法の欠陥を指摘するようなことはあってはならないはずだ。

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