増税のタイミングで響き始めた沿岸部タワマン値崩れカウントダウン

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以前掲載の「絶望のニッポン経済。増税前でも『駆け込み需要なし』の深刻度」でもお伝えした通り、前回の消費税アップ時に比べ少ないと報道されている駆け込み需要。新築マンションに限って言えば、むしろ「買い控え」が顕著なようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、そんな「駆け込み需要に見放されたマンション」と沿岸部タワマンの今後について考察しています。

消費税アップ前の駆け込み需要に見放されたマンションの行方は…

こんにちは!廣田信子です。

あと数日で、消費税が10%になります。

狼少年じゃないですが、何度も延期されてきたので、何だか含みを残しているようにも思える政府の態度に、今度は本当に実行されるだろうか…という期待なのか、不安なのかわからない状況で、オリンピックまであと1年、着々と準備が進み、チケットの販売が開始され、代表選手が決まり、世界でよい結果を出している…という期待感に満ちた世の雰囲気の中で、反対の声もかき消され、あっと言う間に、その日を迎えるという感じです。

負担を強いる施策を実現するには、もう、さすがに反対するのも疲れた…という状況で、明るい話題に隠れて目先のメリットを散りばめたんたんと実行する…何だか、学んだ気がしました。

今頃になって、今、買っておく方が得なものがあるかな…なんて思いながら、少しソワソワしますが、5%から8%に上がった時ほど、駆け込み需要はないようです。増税後、キャッシュレスポイント還元があることも大きいですよね。

一番大きな買い物である「新築マンション」に関しても、特例措置として、3月末までの契約物件については税率の8%が適用されましたが、駆け込み需要で成約率が上がったという話は聞こえてきません。むしろ、首都圏では、価格上昇による新築マンションの買い控えが顕著にみられます。

当たり前と言えば当たり前で、新築マンションの価格は、平均価格が2019年に4,535万円だったのが、今年上半期には6,137万円に達しています。どんなに金利が安かろうが、ダブルインカムであろうが、普通の第一次取得層が購入できる価格を越えています

完成しても、まだ多数の売れ残り住戸を抱えているマンションを、多数見掛けます。新築で購入し、数年で値上がり益をとって、買い替える予定が、すでに、売り希望が多すぎて、売るに売れない状況になっている話も聞きます。まさに、私が、2016年6月に、『2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法!』で書いた通りの世界が始まっています。

消費税アップ前の駆け込み需要にも引っかからなかった都心の沿岸部に完成もしくは建築中のタワーマンションは、どうなるのでしょうか。唯一、景気のいい話が聞こえてくるのが、東京オリンピックの選手村転用の「ハルミフラッグ(4,500戸)」。

モデルルーム開設以来、多くの人が見学に訪れ、第一期販売では、580戸に対し1,683組の申し込みがあったといいます。話題性があり、街としての完成度が高く、共用施設が整い、専有部分の天井高も居室面積も広く、割安感があるのだから、当然と言えば当然です。周辺地域の新築マンションの売れ行きが悪くなるのも当然です。

で、ハルミフラッグを買いたいと思っている人の中には、周辺湾岸地域のタワーマンションの住民も多く含まれているでしょう。さて、無事、ハルミフラッグの抽選当たり、買い替えのため、一斉に今のマンションを売りに出したとき…そのときが、湾岸部タワーマンションの値崩れの始まりになる…その日のカウントダウンが聞こえてくるような気がします。

もう、4年前には分かっていたことで、こういった不動産価格の大変動は、繰り返し、繰り返し起こっていることです。その後に、どんな景色が見えるのでしょうか。こんな話は、自分が住みたいと思ったマンションを無理なローンを組まずに購入し、そこで、コミュニティの一員として、よりよい住環境をつくっていこうと思って暮らしている人には、無縁の話ですが…。

結局、それが一番賢い生き方かもしれませんよ。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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