こだわりが強い知人女性の「段ボールのカーテン」に驚嘆した件

 

この人は本当に諦めない人である。諦めない変人である。いつも自分で高いハードルを設定してはそれに挑んで行く。ギリギリまで弱音を吐きながらも勇気を振り絞って最後までやり通す。そんな人である。勇気とは決して大げさな言い回しではない。うまくできるかどうか、不安のあまりぶるぶる震えているところを実際に何度も見た。私が寒さ以外の理由で人間がリアルに震えているのを見たのは後にも先にもこの人だけである。

どのタイミングで聞いたのかは忘れてしまったが、彼女の努力の源泉は自己否定から来るものであると言う。要は自分が嫌いなのである。だから自分を変えたい、そのためには多少の無茶でもしなければとてものことものにはならない筈だ、といった理屈である。結局、変わるべきは専ら自分であり、相手あるいは周囲ではないということである。

そう言えば彼女は自分の好悪の基準を押し付けるような、そんな布教的行為は一切しない人であった。それどころかそれに関しては自分が歩み寄る必要もなければ、相手の歩み寄りを期待する必要もない、と考えているようであった。

自分の内にある好悪の基準と、他人の内にある好悪の基準と、おそらく自分の外にもあるに違いない善悪の基準をメタ的に認知し、弁別し、このうち近付けて行くべきは自分の内なる善悪の基準と自分の外なる善悪の基準であるとして、そのための努力を続ければ少しは自分を変えられると直観しているのだろう。

極度の人見知りにはつらいに違いない。恐いに違いない。この一点においてだけでも彼女は尊敬に値する。私は、自分嫌いのこの人見知りファイターをいつもいつも応援しているのである。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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