では、子どもたちにおける相対価値や絶対価値について考えてみます。
子どもたちの笑顔を例にすると、○○クン、○○ちゃんよりも笑顔がいいね、などといった場合は、誰かと比べることによって、子どもの笑顔に価値が生まれます。そして、○○ちゃん、○○クンの笑顔を見ると、私は、とてもうれしい、といった場合には、その子どもの笑顔そのものに価値が生まれることになるでしょう。前者は、相対価値であり、後者は絶対価値になるでしょうね。
子どもたち一人ひとりの持ち味など、その価値を伸ばすことを考えた場合には、私たちは、相対価値で見るよりも絶対価値で見るほうが、子どもたちを伸ばすという考えにあった見方、捉え方ではないでしょうか。
また、子どもたち本人が、自分の価値を見つめて、伸ばしていく場合においては、相対価値と絶対価値の両方をバランスよく見ていくことが大切だと思います。
他者から自分の価値が認められるとしても、「あなたは、○○と比べて、○○だね」と言われた場合と、「あなたの○○は、素晴らしい」と言ってもらった場合では、受け取る印象が違ってくるのではないでしょうか。
前者の場合、自分の良い面を指摘されたとしても、少し複雑な気持ちになって、素直に受け取ることができないこともあるのではないでしょうか。後者の場合ですと、自分の持っている良い面そのものを認められて、それを自分の価値としてもっと伸ばそうと考えるのではないでしょうか。
自分が自らの価値を高めるには、比較対象を設定して、その人などと競うことによって、自らの価値を高めていくという相対価値の視点があります。また、自分にしか生み出すことができない価値や、自分が決めた理想像やビジョン、想いを追求する行動をとっていくことで価値を生み出し、高めていくという絶対価値の視点があり、その両面を併せ持って、自らの価値を見ていくことが必要だと感じます。
個人だけではなく、企業などの組織においても、相対価値と絶対価値のバランスは重要になってくるように思います。
短期的な視点では、競合企業と比べて差別化された商品やサービスなどを生み出し、お客様に提供し、お客様に満足していただく価値を高めていくことは必要です。加えて、長期的な視点で見ると、その企業のビジョンや想いなどを表現した商品開発や、自社にしか生み出すことができない商品開発などの様々な活動を通じて、絶対的な価値を高めていくことも重要になってくるでしょうね。
以前聴講した研修の中で、講師の先生が、褒める時と叱る時は、特に他者と比較してはいけないと、講義の中で述べられていました。
その人自身の価値を見る時に、誰かと比較することによって、その人の価値を見てしまいがちです。子どもたちの持っている良い面については、他の人と比べるのではなく、その良い面そのものを絶対価値としてみていくことが大切になってくると思います。そして、子どもたち自身も、誰かと比べて自分の価値を相対的に見出し、伸ばすだけではなく、自分自身の持ち味などを絶対価値として伸ばしていくことが重要になってくるのではないでしょうか。
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