夏休みの時点で、台湾から来た友人のベテラン記者に選挙情勢を聞いたところ、蔡総統の再選は難しいという見立てでした。しかし、香港デモの長期化で情勢は変わり、11月になってから関係者の意見を聞いてみたところ、蔡英文は当確だろうとの見立てに変わりました。逆に韓国瑜陣営のほうが苦戦しているようです。香港デモの長期化は、確実に台湾に大きな影響を及ぼしています。
国民党陣営は、相変わらずカネの力で選挙を動かすという古臭い作戦しかできないようです。国民党候補が当選したら、すべての大学生を外国に留学させると公言しているわりには、財源については明言しない。こうした公約を乱発している時点で、国民党の迷走ぶりがよくわかります。
2000年に総統選挙が行われた際には、中国から恫喝の数々が寄せられました。「陳水扁が当選したら即戦争だ」「人民解放軍が南部(民進党の支援地域)から上陸するぞ」「中性子爆弾を落とす」などです。中国の言う通りにしないとひどい目にあうぞという恫喝は、日本政府には効果的かもしれませんが、台湾人はあまりに言われすぎて慣れてしまいました。
しかし、「中国人が怒ると世界が震える」という見方もあるので、見くびることはできません。そういう意味でも、2020年の選挙は「中国の核心的利益vs人類の普遍的価値」の闘いだとも言われています。世界はこれを第三者として傍観することはできません。
image by: 蔡英文 Tsai Ing-wen - Home | Facebook
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年11月6日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※ 初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
2019年10月配信分
- 訪中要請という罠にはまりスパイ容疑で逮捕される日本人(10/29)
- 柳井会長の「日本人劣化」発言で、ユニクロは韓国に踏み絵を踏まされた?/ヒットゲームを通じて知る台湾史の真実(10/23)
- 習近平がいくら恫喝しても「統一」は不可能/国際評価の高まりで注目を浴びる台湾の行方(10/15)
- 香港・台湾を蝕む中国のフェイクニュースと「表現の不自由展」の驚くべき共通点/台湾で話題の映画・ドラマ紹介(10/08)
- いま中国で起きている「五独乱華」(10/02)
2019年9月配信分
- 小泉大臣は環境問題が中国の覇権争いに利用されないよう警戒せよ/台湾独立運動のゴッドファーザーへの哀悼(9/24)
- 台湾と断交したソロモンが陥る「債務の罠」(9/17)
- 明治神宮に大量発生した香港批判の絵馬に見る、中国のソフトパワーのなさ/中国に翻弄される台湾・韓国芸能界の闇(9/10)
- 対日共闘をASEANに持ちかける文在寅大統領の愚/香港と台湾の共闘を崩しにかかる中国(9/03)
2019年8月配信分
- 「頭おかしい」と評された盧武鉉元大統領と同じ道を行く文在寅/アジアを席巻する台湾音楽、その礎をつくった日本(8/27)
- 日本式表現を捨てた韓国はますます支離滅となる/弾圧と情報工作の手口が世界から暴露され始めた中国(8/20)
- 自分に不都合なことは相手のせいにして恥ない中華の特質(8/13)
- 国民感情に反した言動は処罰すると言い出した韓国政府の狂気/対立する世界と台湾総統選挙(8/06)