普段の会話ではよく使っていたとしても、ビジネスシーンで使用するにはふさわしくない言葉というものは数多く存在します。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』では、社会人ならば覚えておくべき、使い方に注意が必要な3つの言葉を紹介しています。
気をつけたい言葉 「いまいち」
すっかり定着している省略語が「いまいち」です。ご存じの通り「いまひとつ」の省略形ですが、会話でも抵抗なく普通に使っていることが多い気がします。
会話で使う調子で書き言葉にも使ってしまいがちですが、ビジネスメールでは「いまひとつ」とするのが無難。その際、「いまひとつ」の後に具体的な内容を述べるようにすると、文としても収まりがよくなります。例えば
「いまひとつ反応がないので、再度、告知していただけますか」
「今回のプランは、いまひとつ決め手に欠けるようです」
といった具合です。
「いまひとつ」以外の言い回しとしては、「期待していたほど~ない」「あまり~ない」や「~が(少し)足りない」「あと一息」が挙げられます。
上記の例文は
「期待していたほど反応がないので、再度、告知していただけますか」
「今回のプランは、決め手になるものが足りないようです」
と言い換えることができます。
気をつけたい言葉 「はなむけ」
「餞」と書いて「はなむけ」と読みます(表記としてはひらがなで書くのが一般的)。「餞別」と意味は同じで、別れる人の旅立ちや門出を祝い、贈る金品や言葉を指します。卒業シーズンには、「卒業生に贈るはなむけの言葉」というふうに、よく使われる表現です。
門出を祝う言葉という意味から、祝いの席で使う言葉と誤解し「新入社員へのはなむけの言葉」のように使うのは間違い。「はなむけ」は旅立つ(別れる)人への言葉であり、新たに人を迎える場合は、「新入社員へのあいさつ」「新入社員への(祝いの)言葉」とするのが適切です。
「はなむけ」は、「馬の鼻向け」に由来します。かつて、遠方に旅立つ人の前途の安全を祈り、旅立つ先の方向へ馬の鼻先を向ける習慣を「馬の鼻向け」と言い、それを略して「はなむけ」という言葉が生まれたようです。
気をつけたい言葉 「なり」
「私なりに考えてみたのですが…」
「彼なりの判断でしたことだと思います」
このように「~なりに」「~なりの」は、名詞や形容詞の後に付いて「それ相応の、それにふさわしい」状態を意味します。
注意しなければならないのは、目上の相手には使えない表現であるということ。たとえば
「部長なりのご意見をお聞かせください」
は、相手を見くだした感じを与えてしまい、目上の相手に対して使う表現としては不適切です。この場合は
「部長はどのようなご意見をお持ちでしょうか」
「部長はどのようにお考えですか」
「部長のご意見はいかがでしょうか」
のように言い換えます。自分より目上の相手、敬意を示す相手には「~なりに」「~なりの」を使うと失礼になることを覚えておきましょう。
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