ドイツ・メルケル首相やフランスのマクロン大統領の手腕・リーダーシップに期待が集まるところですが、11月に就任した新しいEU委員長がどのようにEUとしての結束を保ち、EUの顔として、トルコやアメリカ、そして混乱の中東・アフリカ情勢に対応できるかは非常に見ものです。仮に彼女が行き詰まり問題を打開できない場合は、まずは経済・金融部門から解決すべし!とラガルドECB総裁の手腕に注目が集まります。
冒頭のマクロン大統領の発言は、もしかしたらこの経済・金融を握り、EU統合の命運を握るポジションにフランス人を据えたという“狙い通り”の人事戦略に基づいた、彼なりのEU統合のグランドデザインのきっかけと捉えることができるかもしれません。
長年の経済不振に苦しみ、根本的な解決策が見えてこない中、いつ爆発するかわからないBrexitという爆弾を抱え、そしていつ暴発するかわからない中東欧・南欧諸国の不満など、EU発足以来、EUは最大の危機に面しており、その意識がマクロン大統領の激しい発言と、非常に厳しい英国への対応につながっているのではないかと考えています。
もちろん、そのベースには、表向きは逆さ方面に向かっているように見える、ドイツ・メルケル首相との何とも絶妙な役割分担があるのだと考えていますが。
今後のEUの行方を占う会議となるNATO首脳会議がもうすぐロンドンで開催されます。この会議が、EUの漂流を止める布石になるのか。それとも、さらなる漂流から瓦解へと向かう破滅へのプロローグなのか。今後の新国際秩序を見るうえで目が離せない事態になりました。
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