【書評】5人に1人が認知症になる時代に押さえておきたい相続術

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「高齢者の5人に1人が認知症になる」とされる我が国においては、相続に関しても「認知症を見据えた対策」を取ることが重要のようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんがレビューしているのは、「相続・終活バイブル」を自称する認知症時代の相続術が記された書籍。「相続の鉄則」等、知っておくべき知識が満載の一冊です。

偏屈BOOK案内:岡信太郎『済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術』

71rdXNZ5glL済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術
岡信太郎 著/KADOKAWA

この頃、忘れようとしても思いだせなかったり(赤塚不二夫かい)、コレは忘れてはいかんな、紙に書いておくかとボールペンを手にしたとたん、既にそのコレが忘却の彼方へとか、重要事項だからとメモした文字列の意味が不明だったり、今日は何日かすぐ分からなかったり、パソコンのモニタ前ではけっこうまずい事態が度々。一方で、自転車でいまどこを走っているかなどは、しっかり分かっている。

前期高齢者夫婦としては、そろそろ相続とか認知症への備えをしなければいけないんじゃないの、そう主張するのは妻である。テレビのクイズ番組狂の妻は、ものすごい物知りで、その方面では圧倒的に強いが、面倒くさいテーマはすべてわたしに丸投げである。文書できちんと書いておけと命令するが、わたしだってよく分からない。相続したときは、全部プロにお任せだったからなあ。

気ままに浪費を続け、もはや正真正銘の貧乏人になった。今後のことは自力でナントカしなければならない。たいていの書店では、いまこの分野の雑誌や書籍がコーナーを形成している。憂鬱な雰囲気が漂うと思うのは、わたしだけではあるまい。ただし、どこの書店に行ってもそのコーナーには客がいない。

日本の人口構造や価値観が変化する中、2018年7月に民法相続法が約40年ぶりに改正された。ちょっとやそっとの改正ではない。従来の「相続の常識」が通用しなくなった。いや、従来のそれもわたしは殆ど知らないから、ショックもなにもない。配偶者居住権とか、預貯金の仮払い制度とか、へえそうなんすか。著者は従来の知識をリセット、アップデートせよというんですけどね。

相続と関連して押さえておかなくてはならないのが「認知症に対する備え」だというのは、よーく分かる。日本は今後、高齢者の5人に1人が認知症になる。昔は、ジーサンがボケちゃって~、で済んでいたのに(済んでいないか)「寿命が延びた今こそ、認知症を見据えた対策をとれ」と著者は強調する。この本では、相続法改正、相続の基本知識・手続き、認知症対策が三本柱になる。

「相続・終活バイブル」を自称するこの新書版の、ターゲットはわたしだ。金持ちじゃないから心配無用と言ってきたが、やるべき相続手続きがあることはもちろん承知していた。認知症については、正直気がつかないふりをしてきた。この本では老後から相続発生後までの長期的視点で、自分や家族に起こり得ることを事例にしている。よくあるのだろうが、面倒なケーススタディばかり。

ストーリーとしては興味深いが、わが家は非常にシンプルで(&貧乏で)、揉める恐れはないと断言できる。遺産相続の鉄則その1は、相続人を正確に押さえることである。相続では思いもよらぬ人が相続人として現れることがあるという。鉄則その2は相続財産を正確に押さえること。相続で必ず起きる揉め事とその対策、具体的対処なども示されて、ドラマチック。しょせん他人事だが。

わたしにとっておおいに役に立ったのは、認知症になったときのことを想定しできるだけ元気なうちに対策をとっておくという提案で、じっくり読み込んでみたい。相続関係では類書多数、それこそ山のようにあるが、著者を選んだのは、合気道家で坂本龍馬研究科家だというから。わたしは司馬竜馬の影響が長く続いたが、最近の龍馬研究ではそれはトンデモだとかで、そっちに傾いている。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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