招待者の人選がいい加減に行われるようになり、安倍長期政権の下でますますエスカレートしてきたのは間違いない。昭恵夫人の関与について菅官房長官は「(夫人の枠は)ありません」「推薦作業に一切関与していない」と述べたが、一方で大西証史内閣審議官は「安倍事務所で幅広く参加希望者を募るプロセスの中で、夫人の推薦もあった」と明らかにした。
どうも、「推薦」と「推薦作業」は別物と言いたいようなのだ。もちろん詭弁である。安倍首相自身も「推薦」はするが、とりまとめは内閣官房と内閣府が行うから、自分は「関与していない」のだと、飽くなき“ごはん論法”を繰り広げている。
しかし、安倍首相とその夫人が内閣官房に推薦した人を、官僚が審査して招待客から外すなどまず考えられない。総理の意向を忖度し、左遷されないよう、あくせくしているのが、幹部官僚の今の情けなき姿ではないか。
政府高官や与党首脳にも、中曽根内閣における後藤田正晴官房長官のように「直言」できる実力者が見当たらない。かつて、日本の有権者は、選挙によって政治権力にお灸をすえ、やりたい放題できないようにバランスをとる術を無意識のうちに心得ていたものだ。それもはるか昔の話になってしまった。
寄らば大樹とばかりに群れ集う「桜を見る会」ツアー参加者の、あの無邪気な喜びの写真こそが、民主主義国・日本の、危機感なき危機を象徴しているように思えてならない。
image by: 首相官邸