シュレッダーの中で桜のように散った安倍昭恵夫人「お友達」の名

 

だが、考えてみれば、功労者を招くのなら、昭恵氏ほど立場に恵まれている人はいないであろう。なんといっても社会貢献支援財団の会長として、社会に功労のあった団体を表彰しているのだ。昨年は40団体がその栄に浴した。

筆者は関西生命線に招待状が届いたかどうかを確かめるため、Y氏にメールで問い合わせた。Y氏からの返信はこうだ。

昭恵夫人とはメル友で、親しいけど、招待はなかった。残念。

あまりにも無邪気な文面には苦笑するほかない。それにしても、Y氏は昨年の表彰式でたった1回、昭恵氏に会っただけなのだ。昭恵氏はいったいどれだけの人々と交信しているのだろうか。

いささか話がずれたが、もしも昭恵氏が昨年表彰した40の社会貢献団体代表を「桜を見る会」に招待しておれば、いささかなりとも言い訳ができるのではないかと思う。

菅官房長官が事務方から聞き取った結果として言うには、「桜を見る会」に招待した内訳は、首相の推薦枠が約1,000人、副総理、官房長官、官房副長官ら官邸幹部の枠が約1,000人、各府省が名簿を提出する各界功労者や勲章受章者らが約6,000人、自民党関係者の推薦が約6,000人、特別招待者や報道関係者が約1,000人だったという。

たしか今年の参加者は1万8,000人だったはずなので、これより3,000人ほど多く参加したことになる。昭恵夫人の推薦による招待者は、首相枠の1,000人に含まれるらしい。

もっとも、首相夫妻関係の参加者はその2~3倍にも及ぶという説もあり、そのほうが勘定は合いそうだ。

夫妻の公私混同ぶりが、どの程度のものだったのか、実態を知るためには招待者名簿を公開してもらう必要がある。

ところが、推薦をとりまとめ招待者名簿を作成、総理大臣名で発送した内閣官房と内閣府は「規則に従い、すでに紙媒体、電子データともに廃棄したので出せない」と主張している。

そんなことを誰が信じるだろうか。内閣府が招待者名簿を捨てたと主張している5月9日といえば、共産党の宮本徹議員が同月13日に国会で質問するため、招待者名簿を出すよう資料請求した当日なのだ。

招待者名簿を出したら、まずいことになると思ったがゆえに、あわてて廃棄を装ったのが本当のところだろう。森友問題で、佐川理財局長が「交渉記録はない」「記録は廃棄した」「わからない」と虚偽答弁を繰り返したのと同じ構図ではないか。

宮本議員は11月20日の衆議院内閣委員会でその点をただしている。やりとりの一部を再現してみよう。

宮本議員 「私がなぜ桜を見る会の招待者が増えているのかと聞いた際、政府は資料が残っていないと答弁された。今年のくらいあるだろうと聞いたら、今年のも破棄をしたと。驚いたのは私が資料要求した日に破棄したことだ。国会で言い逃れをするために招待者の名簿を破棄したのか」

大塚幸寛・内閣府大臣官房長 「招待者名簿は保存期間1年未満としている。招待者に発送するためのリストであり、会の終了をもって必要なくなったので遅滞なく廃棄した」

大塚官房長はこう述べた後、宮本議員の資料要求日と廃棄した日が重なった理由について、もっと前に廃棄しようと思ったが、シュレッダーが他の部局の使用で空いてなかったため、やむなく5月9日になったという趣旨の答弁をした。

もちろん、宮本議員は納得しない。「そんな話を真に受けると思っているのか」「遅滞なくというなら、すぐに捨てられるはず。私が資料要求したから廃棄したとしか考えられない」

桜を見る会の招待者名簿は昨年4月から、1年未満に廃棄」することになったと大塚官房長は説明する。その理由はといえば「膨大な個人情報が含まれているから」だそうである。

しかし、宮本議員は「それは後付けの理由だ」「もともとは3年保存だったのに、安倍政権になって保存できない性質の文書になってしまったのではないか」と激しく迫った。公開したら、国民に説明のつかない人選であることがバレてしまうからだろう、というのだ。

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