文科省実施の全国学力テストでトップクラスを走っている、秋田県で2番目に小さな村に、国内外から視察者が殺到しています。一体何が、塾も書店もないこの村の子どもたちの学力を支えているのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、東成瀬村教育長のインタビューを通してその秘密に迫っています。
学力日本一。秋田県・東成瀬村の秘密
文部科学省が平成19年から実施している全国学力テストで、開始以来トップクラスの成績を収め続けている秋田県。
中でも人口僅か2,500人余りの東成瀬村の成績が特に高いといわれています。
民間の塾がない豪雪地帯で、特別な教材を用いずにいかに子供たちのやる気を引き出してきたのか。その独立独歩の歩みを東成瀬村教育長の鶴飼孝氏に伺いました。
―秋田県の東南端に位置する東成瀬村は、“学力日本一の村”として注目を浴びていますね。
ありがとうございます。文部科学省が実施している全国学力テストにおいて、秋田県は13年間連続でトップクラスの成績を収めています。
市町村ごとの成績は公表されていないものの、2007年に当時の秋田県知事が「東成瀬中が秋田県で一番。小学校もいい」と言及したことで、一躍有名になりました。おかげで毎年、国内外から600名近い視察者が訪れているんです。
―海外からも来られるのですか。
韓国は毎年、それ以外にアジアや南アメリカ、アフリカなど様々な国から訪ねてこられます。
「山間部にあり、最先端の技術を導入しているわけでない東成瀬村が成功できた要因こそを知りたい」
「自国で活用したい」
と、実際に教育現場に立たれる先生方が足を運んでくださるのです。
そもそも東成瀬村は秋田県内で2番目に小さな村で、人口は2,500人余り。村にはスーパーも民間の塾も書店もありません。面積の約93%が山林原野で覆われており、特別豪雪地帯に指定され積雪量は2メートルにもなります。
こう見ると大都市と比べてマイナス面が多く感じられるかもしれませんが、この村にしかない長所もたくさんあります。
まず特徴的なのが、三世代同居率が7割を超えていること。そして年に6回ある小学校の授業参観の参加率が120%に達していることです。
一般的に20%もあればよいといわれる中、なぜ100%以上の数字になるのかといえば、祖父母世代が孫の姿を見に来るから。
学校支援ボランティアの登録者は200名以上いて、防犯対策や環境整備などを手伝ってくれています。
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