催涙ガス使用の問題点
このガスの主成分である化学刺激剤による健康被害の程度はさまざまであり、最近の研究から深刻な影響もあることがわかってきた。約6000人もの曝露を分析した結果、死亡者が2人であり、慢性後遺症の58人には植物状態、失明、心的外傷後ストレス症候群、などを認めた。長期の発癌リスクはいまだに不明である。
今回の香港警察による催涙ガス使用にはいくつかの問題点がある。まず、ガスに曝露した人々に対して除染のやり方についての説明を行なっていないことだ。曝露した人々の中には、無関係な通行人や高齢者もいるという。ガス使用者には健康被害を最小限にする義務がある。また、地下鉄のホームやビル内の閉鎖空間での使用は、健康影響が深刻になる恐れがあり、止めるべきだろう。
民主的な抗議はどう行われるべきか?私は非暴力原則が大切と考える。ガンジーの主義だ。私の住んでいる沖縄の辺野古では、沖縄が反対する基地建設に対する非暴力原則での座り込み抗議が行なわれている。一方、日本と米国の両政府はそれを無視して基地を造り続けている。しかし、非暴力原則での座り込み抗議をあきらめずに行うことが、必ずや沖縄から世界に民主主義のあり方を示す大切な過程となるのだ。
(文献)Emily Ying Yang Chan et al. Use of tear gas for crowd control in Hong Kong. Lancet. October 14, 2019.
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