首相とジャパンライフ元会長を繋ぐ「渡航記録」と「中元リスト」

 

松浦議員はジャパンライフの山口氏が会長をつとめる健康産業政治連盟なる政治団体のファイルを持ち込んでいた。そのなかの事業報告書に関する発言。

「安倍外務大臣、これは書いてあるからしようがないですね。ここに59年度の事業報告があるのです、59年1月1日から12月31日まで。その中に前山口労働大臣、それから安倍外務大臣、それと山口隆祥会長とともにニューヨークを9月の22日に表敬訪問をしておると書いてある」

これに対して安倍外相はこう答えている。「それは山口代議士がたくさんの人と一緒に、ちょうど私が国連に行っておったときに紹介といいますか表敬に連れてきたことは、確かにその中に今の山口隆祥氏ですか、おられたことは事実です」

紛らわしいが山口代議士は、ジャパンライフの山口元会長と親しい政治家の一人だった。どのようないきさつにせよ、安倍外相が国連出席のためニューヨーク滞在中、もしくは飛行機のなかで、山口元会長と会ったことはこれでほぼ確認できた

「桜を見る会」の野党追及チームは外務省に対し「安倍外相の訪米に当時の安倍晋三秘書官が同行していなかったか」と問い合わせ、野党追及本部ヒアリングの席上で回答するように求めた。

12月6日のヒアリングには、いつも通り、内閣府の酒田元洋総務課長ら、首相や官房長官の威光におびえ、どんな質問にも、しどろもどろ答弁を繰り返す気の毒なお役人たちが顔を並べていたが、その一角に、外務省官僚が宿題に答えるべく座っていた。

「外務省、渡航記録出てきましたか?」との質問に外務省の担当者は苦り切った顔で、言葉を絞り出した。

「1984年、安倍晋太郎外務大臣が国連総会出席のために渡航した際の一行名簿に、当時、外務大臣秘書官だった安倍総理の名前が記載されております」

その瞬間、会場にどよめきが広がった。「ほら、出た」「きわめて重要な情報
だ」。

「山口元会長は一行の名簿には記載されておりません」。外務省の担当者はわざわざそう付け加えたが、「民間人が飛行機に同乗していても名簿には載らないだけのことだ」と野党議員らに一笑に付された。

ジャパンライフは福田赳夫元総理大臣とも付き合いが深かったらしい。テレビ東京に残っていた34年前のジャパンライフの社内報には福田元総理の年頭所感が掲載されているという。

福田赳夫元首相といえば、安倍首相の出身派閥清和政策研究会の初代会長だ。二代目会長が父、安倍晋太郎元外相である。こういう系譜をみると、ジャパンライフの山口元会長が安倍晋太郎元外相と話のできる間柄であったとしても不思議ではない。

いつかは政治的地盤を受け継ぐことを前提に、その安倍晋太郎氏に秘書としてたえず付き従っていたといわれる安倍晋三氏のこと。山口元会長と全く関係がないように言うほうが、かえって不自然なのではないだろうか。むしろ、政治の裏面を担う秘書として山口氏との接触は頻繁だったかもしれないのだ。

print
いま読まれてます

  • 首相とジャパンライフ元会長を繋ぐ「渡航記録」と「中元リスト」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け