令和元年も残すところあと半月ほどになり、お正月がすぐそこに。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の柳川由紀さんは、さまざまな年中行事を親子で一緒に楽しみながら経験していくことをオススメしています。今回は、前回の「正月事始めって何?」に続いて、「歳神様」と関わりの深い、「鏡餅」や「祝い箸」の意味や「お年玉」のルーツを教えてくれます。
子どもと一緒に正月準備!
お正月の準備は始めましたか?先週お伝えした「正月事始め」。「初めて知りました、教養の欠片が増えました」と仰って下さる方もいらして嬉しいです。
今日も、先週に引き続きお伝えしますが、今回は子どもからの質問が多い「お正月にまつわる疑問」についてご紹介します。
1.なぜ鏡餅を飾るの?
元旦には「歳神様」という新年の神様が、1年の幸福をもたらすために各家庭にやってくるとされています。お正月行事は、歳神様を迎え入れてお祝いし、たくさんの幸せを授けて頂くためのものです。
歳神様は、農耕と山の神様でもあるため、子孫繁栄や五穀豊穣に深く関わり、私たちに健康や幸福を授ける神様として大切にされてきました。その歳神様の居場所が「鏡餅」なのです。ですから、歳神様にゆっくりして頂くためにも是非、鏡餅を飾りましょう。
2.お年玉のルーツは?
歳神様は、私たちに「魂」を分けて下さると考えられてきました。「魂」とは、私たちの生きる力や気力のようなものです。歳神様の「御魂(みたま)」が居場所である鏡餅に宿るとされているので、この鏡餅の「餅玉」を分けて頂くことで「魂」を下さったことになるのです。
その年の魂である「年魂(としだま)」をあらわす餅玉は、家長が家族に「御年魂」「御年玉」として分け与えました。これがお年玉のルーツで、玉には「魂」という意味があります。
3.祝い箸って何?
おせち料理やお雑煮をいただくときは、「祝い箸」を使います。祝い箸は末広がりの八寸(約24センチ)で縁起がよく、両方の先端が細くなっていて、「両口箸」とも呼ばれます。
一方は神様用、もう一方を人が使うために両端が細くなっています。おせち料理は歳神様へお供えした後、それを下げて頂くものでした。新年を祝い、1年の恩恵を授かる意味から歳神様と食事を共にするのです。両方とも使えるからといって、ひっくり返して取り箸にしたりするのはよくありません。
他にも、祝いの席で折れないよう丈夫な柳の木が使われるので「柳箸」や、五穀豊穣を願って俵方のように中ほどが太めにできているので「俵箸」とも呼ばれ、祝い事に欠かせないものです。
お正月の祝い箸は、大晦日に家長が家族の名前をそれぞれの箸袋に書いて、箸を入れて神棚に供えておくのが習わしです。その箸を元旦に使ったら、自分で洗って、松の内まで同じ箸を使います。
家庭教育アドバイス…「子どもと一緒に」
鏡餅やおせち料理、祝い箸などの準備は、是非子どもと一緒にやりましょう。鏡餅は、三宝や折敷の上に裏白と御幣(紙垂(しで)でもよい)をのせて敷き紙を敷いた上に、鏡餅を載せます。鏡餅の上には橙(なければミカン)をのせるのが一般的です。おせち料理は、簡単にできる盛りつけなどを任せるのも良いかも知れません。
祝い箸を入れる箸袋は、綺麗なものが市販されていますが、和紙などを利用して、子どもの手作りにしても記念になります。同じように、お年玉を入れるポチ袋も手作りできます。家族総出で、お正月に向けて準備をするのは、冬休みのお金のかからないレジャーという意味でも楽しい時間になると思います!
参考文献:『日本の行事を楽しむ12カ月 くらしの歳時記』主婦の友社著 編集
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