ていうか、韓国はダメだったよね?
最低賃金引上げというと、真っ先に思い浮かぶのは、文在寅さんの顔でしょう?アトキンソンさんも、「韓国の失敗例」について触れています。
日本の最低賃金を引き上げるべきだと主張すると、必ず反論が沸き上がります。その反論の根拠として使われるのが、韓国で2018年1月に実施された16%の引き上げです。たしかに韓国の場合、失業者の増加など、引き上げによる悪影響も確認できます。しかし、韓国で悪影響が出たのは、引き上げ方に問題があったからです。
(187~188p)
どんな問題があったのでしょうか?
韓国で一気に16%も引き上げるのは、さすがに極端すぎました。
(188p)
まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね。しかし、アトキンソンさんは、韓国の失敗例がすべてではないとおっしゃいます。
日本の人材評価は世界第4位なのに対し、韓国は第32位です。たしかに、韓国で日本より高い最低賃金を設定すると、影響が出るのは避けられないでしょう。しかし、人材評価第32位の国の例を、都合よく世界第4位の国に当てはめて使うというのはいかがなものかと思います。
(188p)
人口削減問題 = 財政問題
アトキンソンさんは、
- 日本の根本問題は、人口減少問題だ
と指摘しました。この問題を解決するためには、
- 生産性を上げなければならない
生産性を上げるためには、
- 最低賃金を継続的に上げる必要がある
(ここでは、一つの方策だけ書いていますが、本の中にはさまざまな方法が記されています)
ところで、「人口減少」は、なぜ問題なのでしょうか?
これからは高齢化によって、無職の人が激増します。彼らの年金を払う予算がいります。高齢者ですから、医療負担も大きく、その財源も必要です。しかし、給料をもらっている世代は激減します。となると、その税負担のために生産年齢人口の給料を増やす必要があります。所得増加を実現するには、生産性向上が必要条件です。これは大きな政策転換となります。
(213p)
日本の財政が破綻しないためにはどれだけ生産性をあげなければならないのでしょうか?
人口が減る分を補って、経済を縮小させないためには、どれだけ生産性を向上させなくてはいけないのかを計算することができます。なんと毎年1.29%ずつ、生産性を向上させる必要があるのです。
(216p)
これって、どうなのでしょうか?
世界ではこの50年間、毎年1.8%ずつ生産性が向上してきています。
(216p)
これはかなり現実的だと思います。
(同上)
というわけで、今回はデービッド・アトキンソンの本をご紹介させていただきました。
日本の根本問題は、人口減少。それで財政が破綻する。これを回避するためには、生産性を向上させなければならない。生産性を向上させるために、最低賃金を継続的に引き上げよとのことでした。
もちろん、ここで書いたことは、本のごくごく一部です。日本在住30年。日本を間違いなく愛している元ゴールドマン・サックス超エリートの、「日本復活論」。是非ご一読ください。
image by: Shutterstock.com