潰えた改憲の夢。2020年に安倍政権が倒れてもおかしくない理由

2019.12.24
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先日掲載の記事「見えぬ景気回復の兆し。アベノミクスが6年9カ月間で使った無駄金」で、安倍政権の経済政策を「全くの無駄に終わった」と厳しく切り捨てた、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは今回、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、そんな安倍首相周辺で囁かれる「解散総選挙」の可能性について検証するとともに、さまざまな要因を分析しつつ2020年の安倍政権の命運を占っています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年12月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

安倍政権がいつ頓死してもおかしくない2020年──景気回復なし、早期解散なし、改憲発議なし……

2020年の政治は、安倍政権の頓死がいつあってもおかしくない、慢性的な危機状態に入る。頓死の原因となりうる最大のものは経済で、前号「見えぬ景気回復の兆し。アベノミクスが6年9カ月間で使った無駄金」でも述べたように、アベノミクスの終焉がいよいよ誰の目にも明らかになる中で、それでも失敗を認めたくない安倍晋三首相が「異次元金融緩和」の是非結末を総括もしないまま、今度は「異次元財政緩和」に飛び移ろうとするサーカスを演じようとして地上に落下する、というようなことである。

1月解散はない

それでも安倍首相周辺では、来年1月早々に通常国会召集、大型補正予算を成立させて衆院を解散し、2月総選挙で勢いを取り戻すという構想が繰り返し検討された。それは、政局テクニック的にはあり得なくはない話だが、何よりもまず、政権の蘇生という自分勝手な都合以外に何の大義名分もなく、国民にとっては只の大迷惑でしかないので誰も喜んで投票に行くはずがない。そういう無意味な解散はそもそもやるべきではないし、その根拠を天皇の国事行為を定めた憲法第7条第3項に求めるのは間違っている

しかも「お花見疑惑」とそれを早々に幕引きしようとする安倍首相の卑劣な態度が国民の間に強い反発を引き起こし、来年になっても到底鎮まる気配がないので、その中で無謀な選挙を打てば大幅議席減もあり得る

そこでこのような強行突破策は取り下げられ、わざと1月中旬に首相の中東訪問を設定し、それを理由に「通常国会を1月20日に招集する」方針を固めた(19日付毎日)。会期は150日間なので6月17日まで。翌18日からは東京都知事選が始まり、その後は東京五輪モードに入るので、会期延長の可能性は低い。おまけに会期中の4月には習近平中国主席の国賓来日があり、終わるとすぐに5月大連休。会期末直前の6月10~12日はトランプ米大統領がホストを務める主要国サミットがキャンプデービッドで開かれるので首相は不在で、実質的な審議時間はかなり少なくなる

五輪後解散も難しい

このため、1月早々のタイミングを逃すと、五輪後まで解散をテコに政権を再浮上させる機会はほぼ絶無で、やるとすれば五輪後しかない。「五輪後であれば、世の中がワンチームみたいな雰囲気になって、なかなか自民党批判にならない」ので解散がやりやすいのではという自民党閣僚経験者の意見もあるが(上述毎日記事)、それは甘い見通しである。そこに至る来年前半で、

  • 「お花見疑惑」で新事実が露見することはないのか
  • 政府が日銀及び年金積立金管理運用独法を通じて行ってきた株価操作が破綻するようなことは起こらないのか
  • 衆参の憲法審査会は改憲の中身についての実質的審議を始められるのか
  • 中東に無理矢理派遣せざるを得なかった自衛艦が、いきなり過激派の攻撃を受けて沈むようなことはないのか
  • 北方領土「2島先行返還」外交はもう止めたのか
  • 習近平を上手に迎えられるのか
  • 文在寅とはこのままの関係でいいのか
  • 拉致問題で本当に金正恩との日朝首脳会談を開けるのか
  • 米政治史上3人目の弾劾対象となって狂気のようになりつつあるトランプが訳の分からないことを言い出さないか

──等々、心配事は山ほどあって、どれ1つをとっても政権が躓く原因となりかねない。それらを全てピョンピョンとクリアして五輪後を迎えることが出来たとしても、さあどうだろうか、そこで世の中が「ワンチーム」となって改めてこの政権を支え抜こうという雰囲気で盛り上がっているなどということがあり得るのだろうか。話はむしろ逆さまで、その時には「もう安倍首相はウンザリ」という世の中の雰囲気が濃くなっている可能性の方が大きい。

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