現役医師が警告。「デトックス茶」が危ない理由とは?

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2018年11月にイギリス出身の女優ジャミーラ・ジャミルさんが、デトックス茶を宣伝するセレブらを非難する投稿をInstagramに掲載。そういった声を受け、FacebookやInstagramでは広告の規制が始まりました。メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で沖縄在住医師の徳田先生は、アメリカでは食品衛生局による管理義務がないドラッグストアで、ダイエットティーの他にも、危険な副作用のある物質が含まれるダイエットサプリが多数売られていると警鐘を鳴らしています。アメリカに行かれる予定のある方は、少し注意された方が良いかもしれません。

9割のダイエットサプリにシブトラミン

学会などで世界各国に訪れるとき、私は必ずそれぞれの国にあるドラッグストアの中をのぞくようにしている。健康を害して病気を起こすサプリやOTC薬が売られていないかどうかみるためだ。ここでのドラッグストアは、ダウンタウンの道ばたで、ヘロインやコカインなどの違法薬物を売っている危ない販売店のことではない。その国あるいは地域で合法的に商品を販売しているドラッグストアのことだ。

私の観察から出た結論は、アメリカのドラッグストアに売られているサプリは危ない、ということ。中でもダイエットサプリには注意が必要だ。10種類中9種類のサプリにシブトラミンが含まれている。食欲抑制作用があるが、心筋梗塞や脳梗塞を起こすことが判明している成分。このためアメリカの食品衛生局も処方薬から除いた薬物だ。

アメリカではドラッグストアのサプリには食品衛生局による管理義務はない。だからシブトラミンのような成分が入り込むことになる。アメリカ以外の国ではありえない状況が起こっているのだ。最近の調査によると、ステロイドも混入している可能性があるらしい。ステロイドには筋肉増強作用があるが、糖尿病を引き起こし、骨をもろくし、動脈硬化症を急速に進行させる危険な副作用がある。

デトックスティーに注意

デトックスという言葉がある。世界中の若者が使っているトレンド用語だ。「デ」は除くや消し去るという意味。トックスは毒を意味するので、デトックスは解毒の意味となる。しかし、アメリカのドラッグストアでデトックスという言葉が付けられた銘柄の商品には解毒作用はない。

代表的な商品にデトックス・ティーというのがある。日本語にすると解毒茶。しかしその中身を調べてみると主要成分はセンナだ。これは、下痢を起こす作用のあるハーブで、便秘薬としてもよく用いられている。しかし、長期間常用すると永久的に腸の作用が低下することがある。デトックス茶は解毒茶ではなく、危険な下剤茶なのだ。

下剤の乱用は、病的な痩身願望を持つ摂食障害の患者でよく見られる行動である。医師に気づかれないように、下剤を長期間大量に服用している患者もいる。そのような患者では、下痢便とともに重要な電解質のカリウムが体外に失われる。低カリウム血症で怖いのは心臓の不整脈だ。死亡することもある。摂食障害で死亡率が高いのはこのためだ。

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