優秀すぎても失敗する。経営継承がうまく行かない企業の共通点

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どんな敏腕経営者であっても、いつかは事業を後継者に託さなければいけませんが、業績を落とすことなく引き継ぐ「コツ」のようなものはあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、上手に事業継承するために必須な「理念やビジョンの引き継ぎ」について解説しています。

うまく経営を引き継ぐポイント

大塚家具の事業承継はゴタゴタ続きで、とうとうヤマダ電機の支援を仰ぐことになりました。事業を引き継いだ後の経営がうまく行かなかったのには、いろいろな問題があると思います。

しかし、一番大きな問題は、企業理念やビジョンが正しく引き継がれなかったことにあるのではないでしょうか。この極めて肝心なことが引き継がれないと、企業の継続が難しくなるという、分かりやすい事例です。

そして今、スポーツショップも次々と経営者が交代し始めています。それらのお店では、経営の引継ぎはうまく行っているでしょうか。私の知っているお店でも経営の引継ぎがされていますが、理念やビジョンの引継ぎの形は、大きく3つに分けられます。

  • 理念やビジョンがうまく引き継がれた
  • 理念やビジョンを新たに作った
  • 理念やビジョンが衝突している

順番に説明していきましょう。

まず、理念やビジョンがうまく引き継がれたお店があります。素晴らしいことです。そのお店は、さすがに良い業績をあげ続けています。このタイプのお店は、先代経営者が優れているのでしょう。まだ元気なのに、経営を引き継いでから一度も経営には口を出しません完全に新しい経営者に任せています。

ただし、経営を引き継ぐまでに、後継者候補には時間をかけて自分の考えを伝えてきましたさらに、行動を通じて経営に対する姿勢を伝えました。そして、もう大丈夫だと思った時に、経営を引き継ぐ決断をしたのです。

そのお店の後継者は、引き継いだ理念やビジョンに沿った新しい戦略を打ち出し、実行しています。先代は、にこにことじっと見守っているだけです。こうした形が、一番望ましい引き継ぎ方でしょう。

新しく理念やビジョンを作る

2つ目は、後継者が新しく理念やビジョンを作るパターンです。この引継ぎ方法も、結構あるのではないでしょうか。

例えば、先代の経営者が突然亡くなったり健康を害したりして、経営が出来なくなる場合があります。残念ながら、それまで明確な理念やビジョンがありませんでした。そこで、後継者が今までの経営を頭に置きながら、理念やビジョンを作って経営を始めます。この作業は、後継者にとって結構難しいことです。

とはいえ、先代は言葉にこそ残してはいませんが、漠然とした理念やビジョンを持っていました。後継者自身も、自分なりにお店の進むべき方向やあるべき姿について考えを持っています。その先代の考えと自分の考えを合わせて、理念やビジョンを作らなければいけません。そうすれば、今までの経営と大きく外れることはないでしょう。

その結果、お客様も引き続き関係を続けてくれることになります。しかも、この場合先代は経営に口を出せません。そのため、経営がスムーズに運ぶことでしょう。

一方、それとは違って、先代とは違った理念やビジョンを考える後継者がいます。大塚家具のようなケースです。この場合は、経営に大変な力が必要になります。今までの方向性を変えてしまうのですから、よほどしっかりとした戦略を打ち立てないと、うまく経営が出来ません。私はそうしたお店も、よく見かけます。結構大変そうです。

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