引継ぎがうまく行かないケース
では、3つ目のパターンはどうでしょう。理念やビジョンが先代と経営者との間で衝突してしまうパターンです。
2つ目のパターンの「後継者が新たに理念やビジョンを作る」ケースとよく似ていますが、3つ目のパターンでは、先代が経営に口をはさみます。先代も後継者もお互いに能力が高い場合に、よく起こりがちです。
先代は、明確なビジョンを持って経営をしてきました。しかし、いつかは経営を引き継ぐ必要があります。年齢的にも引き継がなければならないと、先代の覚悟が出来ました。後継者には、理念やビジョンについて十分に伝えたつもりです。
ところが、先代の意に反して後継者は、自分なりの理念やビジョンを打ち立ててしまいます。それが、先代の考えと違っているので大変です。先代には、経営を引き継いだ時の覚悟が足りませんでした。ついつい経営に口を出してしまいます。案の定、先代と後継者が衝突してしまうのです。
よくありません。お店にとっては、経営者が二人いるようなものです。経営を引継ぐに当たっては、この事態は絶対に避けなければいけません。きっとこのお店の経営はうまく行かないはずです。
さて、以上3つのパターンを見てきましたが、実はそれ以外にも引継ぎの形があります。それは、もともと理念もビジョンもなくて、引き継いだ後も理念やビジョンを持たないまま経営がされているパターンです。この場合は、運が良ければお店は成長していけます。しかし私には、このお店に明るい未来を想像することはできません。
いかがでしょうか。これらのことから分かることは、うまく経営を引き継ぐには、理念やビジョンが必要だということです。そして、経営を引き継いだら、先代は口出しをしてはいけません。それが出来れば、引継ぎはうまくいきます。あとは後継者の力を信じて任せましょう。
■今日のツボ■
- 経営の引継ぎには理念やビジョンの引継ぎが重要
- 引継ぎ時に理念やビジョンがなければ、新たに作る
- 経営を引き継いだら先代は口を出さない
image by: Shutterstock.com