ゴーンだけが悪人か? 改めて問う「日産事件」最も重要な事柄

 

7.イヤなのは、これで優秀な経営者が日本企業の経営をする場合の「妙な司法に敵視されるリスクが知れ渡ったしまったことです。また、その一方で、司法改革がこの一件で後退しかねないことも懸念されます。

8.ゴーンの動機は「発言を禁止」されて「10年から20年」を異国での裁判に費やすというような「余生」は「拒否」したということで、本人としては極めて合理的な判断です。ですが、同時にゴーンの逃亡は犯罪です。これで経営者としては100%過去の人物となり、少なくともどの先進国でも合法組織の経営者として復活する可能性は断たれました。その事実も重たいものがあります

9.この種の逃亡劇を防止するのには、保釈金の算定を変更するに限ります。普通はこの種の問題であれば「本人の支払い能力ギリギリ+アルファ」を抑えるのが常道と思います。15億などという「ゴーンにとっては『はした金』」で済ましたのは大チョンボとしか言いようがありません。後の関空のオーナーシップがどうとか、新幹線に乗ったとかいうエピソードはどうでもいいことです。X線検査をパスしたとか、貸し切りの専用機を自分でハイジャックするのでもあるまいし、本当に些末な話です。

10.結論から言えば、ゴーンの言い分など、事態がこうなってはどうでもいいことだと思います。それよりも、日産をどうするのかが大切です。検察のメンツに、日本のメンツを重ねて騒いでいる間に、主要産業だったはずの自動車製造という産業の空洞化が加速するようでは、洒落にもなりません。

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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