夜空を見上げ美しい星座を眺めるのは癒されるものですが、星にまつわるうんちくを知っているとより楽しめるものです。今回の無料メルマガ『1日1粒!『幸せのタネ』』では著者の須田将昭さんが、冬の星座の代表格でもあるオリオン座の鑑賞法を紹介しています。
オリオン座の星あれこれ
オリオン座は、おそらく北斗七星と並んで、小学校で習う星座で最もポピュラーなもので、「他のはわからんけど、これだけは知っている」という星座ではないでしょうか。
今の時期ですと、日没後、18時半ごろに東の空を見ると、縦に三つ明るい星が並んでいるのが目立ちます。ちょうどオリオン座が横になった状態で昇ってきているところです。この目立つ三つの星は「オリオンのベルト」に当たるもので、その名も「三ツ星」と呼び習わされています。この縦に並んだ三ツ星の右側と左側に二つずつ明るい星があります。右側の上の方は青白く輝いています。一等星のリゲルです。左側の下の方は赤く輝いています。これがベテルギウスです。
この三ツ星と周りの四つの星でおおよその胴体の目処がつくでしょうか。右肩がベテルギウス、左足がリゲルです。ちなみに左肩の星の名前はベラトリックス。女戦士の異名があります。前にも書いたことがありますが、『ハリーポッター』に出てくる「ベラトリックス・レストレンジ」の名前の由来はこの星ですね(ブラック家の魔法使いは、シリウス・ブラックや、レギュラス・ブラック(本来なら「レグルス・ブラック」と訳してほしいところ)、アンドロメダ・トンクスなど星由来の名前が付いています)。
閑話休題。
もう少し時間が経って、オリオン座が立ち上がった状態で見えてきたら、腰のベルト(三ツ星)から斜め下に、またやや暗いけども三つ、やや目立つ星の並びに気づくことでしょう。三ツ星と並んで「小三ツ星」と呼んでいます。
この小三ツ星の真ん中は星というよりもややぼやっとした感じに見えるはずですが、これはオリオン大星雲(M42)なのです。我々と同じく天の川銀河(銀河系)の中にある散光星雲で、今まさにこの中で星が誕生していると考えられています。
肉眼でもその存在がわかりますが、双眼鏡などで見ても見応えがあります。望遠鏡で中心部を拡大してみると、トラペジウム(四重星)を中心とした散開星団が観察できます。それは寒さを忘れるほどに美しい輝きです。
写真では一般には赤い色が中心となっていますが、実際にはもっと複雑な色だと考えられます。また、明るすぎて、中心部は潰れてしまっています。肉眼で見た方が、これらの散開星団の美しさを堪能できます。天体写真はそれはそれで美しいのですが、肉眼のもつ柔軟さでこそ味わえる美しさもあります。ぜひ機会があれば、オリオン大星雲を望遠鏡で見てください。
他にも色々注目すべき天体はあります。小さくくらい星雲なのですが、M78星雲もオリオン座にあります。そう、あのウルトラマンがやってきたM78星雲です。
ウルトラマンに詳しい方なら「あのM78星雲というのは、本来はM87星雲の予定だったのが誤記されてM78になってしまった」などというエピソードもご存知でしょう。
実際のM78星雲は暗くてみづらいですし、設定とも違うとは思いますが、一応「本物のM78星雲はオリオン座にある」ということぐらいは知っておいても損はないかと(得にもなりませんが)。
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