なぜ箱根駅伝は盛り上がる?マーケティング視点で考える10の要素

 

4.花の2区のゴボウ抜き

2区は各校のエースが集う最長の区間である。特に、アフリカ系の留学生が2区ではゴボウ抜きを演じることが多い。ゴボウ抜きができるということは、1区の順位が低いということであり、チームとしてはあまり褒められたものではないが、テレビの視聴者にとっては見応えがある。

5.高低差が勝負を決する

箱根駅伝のコースには絶妙の高低差がある。上り坂でスパートをかける選手もいれば、下り坂で一気に引き離す選手もいる。選手の駆け引きは、道路の高低差がきっかけになるのだ。全体のコースを俯瞰すれば、5区の山登り、6区の山下りは、陸上競技としては異常だ。あれだけの急勾配を登ったり、一気に駆け下りることは危険だが、それだけ大きなドラマも生まれる。上り坂のペース配分を間違えてブレーキがかかることもあるし、下り坂で飛ばし過ぎて足を痛めることもある。箱根駅伝の高低差は、通常のマラソンには見られないドラマを引き起こすのだ。

6.監督と学生、学生間の絆

監督車が選手の後ろを走り、選手に声をかける。後ろから追い上げられている時、区間記録が出そうな時、スタミナ切れで止まりそうな時、監督が大きな声で選手を励ます。このやりとりを聞いていると、普段の監督と選手の関係が見えてくる。また、給水ポイントでは、控えの学生が選手に駆け寄って水を渡す。この時の短いやりとりや互いの表情で、選手間の絆が垣間見える。箱根駅伝では、選手同士の競争だけでなく、選手と監督、選手と控え選手とのやりとりによって、より深いドラマを演出されるのである。

7.個人の区間賞と団体の優勝

駅伝は基本的に団体戦だが、区間賞に関しては個人が競い合う。この団体戦と個人戦が入り交じった競技が駅伝である。チーム全体の成績はいま一つでも、圧倒的に速い選手がいれば、区間賞を取ることができるし、区間記録を更新することもできる。駅伝では、個人もチームも目標を設定し、それに向かって競い合うことができるのだ。しかし、タスキがつながらなければ、チームの成績はカウントできない。そこに、駅伝の奥深さがある。

8.繰り上げスタートのドラマ

駅伝には繰り上げスタートがある。先頭から一定以上の時間が経過すると、強制的に繰り上げスタートしなければならない。後ろから来る選手が見えているのに、繰り上げスタートする選手も残念だろうが、時間以内に中継所に着けなかった選手の方がもっと辛い。自分のせいで、伝統のタスキがつながらなかったことに責任を感じて、涙を流すことが多い。選手には申し訳ないが、視聴者にとっては、最大の楽しみと言ってもいいだろう。

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