9.気の毒だけど、ブレーキで盛り上がる
更に選手に気の毒なのが「ブレーキ」だ。気温が高かったり、ペース配分を間違えると、選手の足が止まってしまう。これをブレーキというが、ブレーキで棄権してしまうと、チームの記録は残らない。各選手はブレーキになることだけは、絶対に避けなければならない。しかし、選手にとって最大の悲劇は、見ている人にとっては最大のドラマでもある。ブレーキもまた、駅伝の魅力の一つでもある。
10.シード権争いで二度美味しい
駅伝の勝負は優勝争いだけではない。上位10位までは、シード権が与えられ、翌年の駅伝に出場する権利が得られる。復路は、優勝校が独走していることも多い。そうなると、優勝校争い以上に、シード権争いが熾烈を極める。しかし、繰り上げスタートの選手も混じっているので、見ている順位と本当の順位が異なることも多い。かなり複雑だが、それもまた駅伝中継にはプラスに働いているのだろう。単純に画像を観るだけでなく、解説がないと順位が分からないからだ。こうした複雑なルールは面倒な反面、慣れるとより深い感動を体験することができる。サッカーのJ1昇格争いにも似た優れたシステムである。
編集後記「締めの都々逸」
「箱根八里は 馬でも越すが 越すに越されぬ シード権」
箱根駅伝をマーケティングの視点で見てみよう、というのが今回のテーマです。これをどのようにビジネスに応用するのかは、皆さんで考えましょう。
でも、本当に正月の2日3日の午前って、最高のタイミングだと思います。他のコンテンツにも、ふさわしいタイミングというものがあるのでしょう。どんなビジネスでも、タイミングって大切ですよね。(坂口昌章)
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