北海道ではセブンも敵わぬ。「セイコーマート」のチラシ活用術

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日本全国どこへ行っても大手系列のコンビニばかりと思っていたら、意外と地元勢が頑張ってるところもある…、そんな話を聞くとなんだかエールを送りたくなるものです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、北海道を拠点とする地場コンビニ・セイコーマートが取り組む「ブランド価値を上げるための知恵と工夫」が紹介されいます。

ブランド価値をいかに高めるか?

日本の地方都市を取り巻く環境が年々厳しさを増す中で、大手や競合とは一線を画した商品・サービスを提供することで、発展し続けている企業があります。

北海道でコンビニチェーンを展開するセコマの丸谷智保社長と、沖縄県で百貨店・スーパー・コンビニ事業を手掛けるリウボウホールディングスの糸数剛一会長。

経営のヒント満載の対談の一部をご紹介します。


糸数 「丸谷さんがシティバンクからセイコーマートに移られたのはどういうご縁だったのですか?」

丸谷 「銀行時代の先輩がセイコーマートに勤めていまして、後継候補として以前から誘われていたんですよ。50歳を過ぎたら地元に戻ろうと思っていたこともあり、創業者の赤尾昭彦と会ったんですけど、彼の考え方に非常に感銘を受けて入社を決めました」

糸数 「どんなところに感銘を受けましたか?」

丸谷 「たくさんありますが、何よりも小売の発想じゃなかったということですね。ある時、面白いことを言いましたよ。『丸谷さん、クロネコヤマトって小売業だよね』と。『いや、あれは物流業じゃないですか』と返すと、『いや、そうなんだけど、よくよく考えると、代引きっていうのは物を渡してお金をもらうよね。これは小売業じゃないか』と」

糸数 「鋭い洞察力ですね」

丸谷 「それで私は、小売業の根幹はいかに物流させるかだと思ったんです。特に我われは60坪くらいの小さいお店で、しかも物流距離が長いですからね。店舗配送ルートの中で、店舗間の物流距離が一番長い場所は何と37キロ。その間、一店舗もないわけです。だから、効率的に届けることが売ることに直結する。モノを売ることはモノを届けることに等しい。これはすごく肚に落ちました。

入社から2年後の2009年、55歳の時に社長を継ぎましてね。ベースは創業者がつくり上げてきたものを受け継いでいったわけですけど、綻びもありました。それは何かというと、我われのやっていることが地域や顧客に十分伝わっていない。企業のブランド価値を高められていない。これはもったいないと思いました。

糸数 「社長就任後、まず着手したことは何ですか?」

丸谷 「すぐにやったのは広告宣伝費を2倍にし、テレビCMの出稿を増やすことでした。また、我われは毎週約200万部の折り込みチラシを撒いている珍しいコンビニなんですよ。そもそもなぜチラシを撒くのか、このチラシは誰が見るのかと。それを社員に聞くと、水曜日の朝に『きょうの特売はこれですよ』とお客さんに知らせるためにやっていると答えます。確かにそうなんですが、よくよく考えてみると、そのチラシは前の週の木曜日の夜にお店に入るわけです。で、それを見た店のオーナーや担当者が『これはチラシに載るから売れるんだな』と思って発注する。つまり、チラシはお客さんの購買意欲を高めるものである前に、オーナーや担当者のモチベーションを上げる企画書みたいなものなんです」

糸数 「チラシを通じてお客さんはもちろんのこと、まず店のスタッフに対してメッセージを発する。これはブランド価値を高める上で大事な視点ですね」

image by: TY Lim / Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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