河井案里氏は悪党か。仁義なき菅vs岸田、広島代理戦争の深い闇

 

そうなると、今回の事件についての見方は変わって来ます。つまり、3つの可能性が考えられます。

1.そもそも数の限られている広島県内のウグイス嬢について、県連や溝手陣営が「河井陣営では働くな」という圧力をかけて、河井氏が困るような「イジメ」をやっていた可能性。

2.そこで追い詰められた河井陣営が「全国的にプロがやっている脱法行為」だという認識で「仕方なく領収証を工作する形で倍額払って」ウグイス嬢を集めたが、そのウグイス嬢が県連とつながっていて、河井を陥れるために密告をしていた可能性。もしくは、最初から溝手陣営などのスパイだった可能性。

3.その場合に最初からウグイス嬢を抑えていた溝手陣営では「1万5,000円」では、金銭的なメリットが提供できないので、「絶対にバレない高度な工作をした上」で「もっと上のメリットを提供していた」という可能性。

この3つの可能性が考えられます。更にその上には「そもそもウグイス嬢の派遣などは、県内の有力者が一手に握っていて、もっと別の世界とつながっている」とか、色々な「闇」が関係しているということも、可能性としてはあるのかもしれません。

いずれにしても、状況証拠的には今回の事件は、「河井」対「溝手」という、「菅」対「岸田」の代理戦争がヒートアップした結果起きた事件であり、では、どっちがクリーンなのかというと、簡単には言えないダーティなものだということは言えると思います。

私はオバマ大統領との一連の交渉に際しての岸田文雄氏の仕事は及第点だと思っていましたし、そもそも宏池会については消去法ではあるのですが一定の支持をしていました。ですが、今回の一件でかなり落胆しているのも事実です。ちなみに、私は河井夫妻のポジションについても右過ぎて支持はしてません。

それとは別に、この種のダーティな「代理戦争」を見せつけられると、菅義偉、岸田文雄という2名については「ポスト安倍」のリストの中で急速に色あせて見えるというのは、否定できません。

もう1つの問題はタイミングです。

まず、このニュースの表層では「とにかく議員特権を奪われたくないし、罪を認めたくない」夫妻が、入院や雲隠れなど「悪あがき」をしているように見えます。ですが、彼らには、いや彼らの背後にいる菅官房長官には、タイミングというのは非常に重要なのだと考えられます。

というのは、仮に起訴ともなれば案里議員の辞職は不可避、そうなると克行議員の方も辞任が避けられません。その場合に問題になるのが補欠選挙です。

安倍政権あるいは菅官房長官陣営としては、妻の参院議員の議席について、そして、夫の衆院議員の議席についても、それぞれが単独補選になるのはどうしても回避したいと考えていると思われます。というのは、

「単独補選になれば、この選挙違反事件だけでなく長期政権批判が争点になってしまい、野党に議席が行く可能性がある。そうなると党内抗争どころではなく、安倍早期退陣+菅氏のポスト安倍消滅となってしまう」

「克行議員の場合は、当選7回というそれなりに政治権力があることから、補選に出て『みそぎ』をしたいという要求を抑えるのが難しい」

「その場合に、克行議員が自身の延命のために妻を離縁して補選に出るという強硬策に出たり、妻の方にしても離縁されたら野党に走って菅+岸田の内幕暴露などをし始めると全てがカオスになってしまう」

「妻の補選で、仮に溝手氏が自民議席を守った場合、それはそれで代理戦争で菅氏の敗北になる」

というようなマズいシナリオが沢山あるからです。離縁うんぬんというのは、ちょっとご本人たちには失礼で、あくまで仮の話としてお読みいただければと思います。それはともかく、このまま何もしないで流れに任せると、

「妻が起訴されて議員辞職」
→「ほぼ同時に夫も議員辞職」
→「それが3月15日以前だと、参院も衆院も4月26日の統一地方選とダブル」
→「そうなると、統一地方選は、腐敗した安倍長期政権批判で、野党優勢に」
→「結果が敗北だと、安倍政権崩壊、菅氏のポスト安倍も消滅」

という最悪シナリオになってしまいます。

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