贈り物とジェサ(祭祀)もストレスだ。2020年の5月に結婚を控えているシム・ヒェジ(29)さんは、媤家にどんな贈り物を送るべきかこの1か月間ずっと悩んでいる。友達と相談もした。ある人は「イシモチ」を勧め、ある人は「カリグラフィーで書いた手紙とキキョウ精菓」を推薦した。これらは全部韓国の定番の名節プレゼントセットである。シムさんは「夫は、妻の実家のプレゼントになんかこれっぽっちも気にもかけていないけど、私は礼儀正しくセンスのある役割を強要されるミョヌリノリ(ミョヌリは嫁の意で、ノリは振る舞いほどの意。嫁としてのあるべき行動)をしている」と愚痴をこぼした。
キム・ソイ(29)さんはジェサ)の問題をめぐり、「10回以上も」夫と対話したけれどもまだ解決されていない。金さん夫婦は結婚前、家の中の家事を最小限にとどめようと話しあい、主に出前を頼んで食べる。料理は主人が担当している。だからかなり「できた」ダンナといっていいだろう。しかし名節の時は違った。「普段は自分の家でもほとんどしない家事を、なぜ媤家に行って1日中しなければならないのか、考えただけで頭が痛くなります。それに、好きな人も食べる人もいない食べ物(ジェサのときの伝統的料理。最近の女性らはあまり好きではないのだろうか)を習慣的に際限なく作り続けるというのも納得がいかないですよ。しかし夫は状況を傍観するだけです」。
90年代生まれの(予備)嫁さんたちに、「名節に一番聞きたくない言葉はなに?」を聞くと、一様に「子供作り計画はあるのか」という質問だという答えが返ってきた。ベさんは「たまに『それでも息子は一人いないとね』などと言われれるとどんな表情をしたらいいのか、もう気が遠くなるくらい」と話した。
西江(ソガン)大学のある教授(社会学)はこう語る。「90年代生まれの女性たちが不便な慣例や不当な慣習の当事者になり始め、そうした風習に強い疑問を持ち始めた」、「名節の葛藤は60年代生まれの母と90年代生まれの嫁の対立ではなく、家父長制の当事者である舅や夫たちの問題だ。名節の意味や機能に対して強い疑問を持つ若い女性たちが爆発的に登場しているので、『家父長』たちがどんな役割の変化をしなければならないか、深く省察しなければならない時期に来ている」と述べた。
永遠に続くと考えられていた儒教文化に根差した家父長的伝統文化は、それでもこのように少しずつでも変わりつつある。変わらない中心軸のような部分ももちろんあるかと思うけど、時代に合わせて変わっていくべき部分も多分にあろうかと思う。おもしろいのは、変化は決して強引になされるのではなく、力を抜いた状態でも人々の意識が変わることによって「自然に」変わっていくということ。90年代生まれの韓国女性らがどのようにこの世相を変えていってくれるのか。とてもわくわくしながらわたしは見ているのである。今回のコラムの中では、孝子病という単語に注目していただけるとうれしい。韓国独特のキーワードの中の一つといえる。
image by: Shutterstock.com