例えば「あげる」という言葉、漢字で正しく書き分けることはできるでしょうか。ビジネス文書等で誤用した場合、信頼を失うことにも繋がりかねません。今回の無料メルマガ『仕事のメール心得帖(無料版)』では著者の神垣あゆみさんが、複数の意味を持つ言葉の書き分け方について詳しく解説しています。
言葉の書き分け 「あげる」
読みは同じでも、字に書くと漢字が異なり、意味も違う言葉があります。
パソコンで文字を入力するとき、変換候補の中からどれを選んでよいか分からなくなることがありますが、そんな言葉の書き分けについて取り上げてみたいと思います。
「あげる」は漢字で表記すると「上げる」「挙げる」「揚げる」ですが、使い分けはできていますか?
「上げる」は、文字通り「下」の対語。位置や程度があがる、高める意もあります。
対して「挙げる」は、はっきり分かるように示すこと、列挙、出し尽くす、こぞってするなどの意味があります。
- 効果・成果を上げる=効果・成果がアップ(上昇)すること
- 効果・成果を挙げる=効果・成果を残すこと
- 手を上げる運動=実際に手を上に動かすこと
- 手を挙げて意見を言う=人に分かるように挙手で示すこと
「上げる」か「挙げる」か判断が付かない場合は「あげる」とひらがな書きに。「~してあげる」は「上げる」「挙げる」ではなく、ひらがな書き
それに対し「揚げる」は、高く掲げる、ある場所から他の場所へ移すという意味があります。
- 転勤先から引き揚げる=元の場所へ戻ること
- 荷揚げ作業=「荷降ろし」の対語、荷を掲げること
- 揚げ足取り=浮ついた足を取ることから、言葉じりやちょっとした失敗を取りあげて相手を責めることを指す
言葉の書き分け 「かえる」
「かえる」には4つの漢字があります。「変える」「換える」「替える」「代える」です。
前とは違った状態、変化や変更を示す「変える」に対し、紛らわしいのが「換える」と「替える」です。
「換える」とは、AとBを交換、転換、改めるといった意味があります。
- 言い換える、置き換える、書き換える
- 換金(品物を現金に換える)、お金に換える
- 借り換え、遺伝子組み換え
- 交換、取り換え
- 乗り換え
「替える」は前の物事をやめて別の物事をする意味があります。
- 入れ替え、買い替え、差し替え
- 植物の植え替え、家の建て替え
- 手を替え品を替え
- 振り替え休日、日替わり定食
- 円をドルに替える、両替(ある種の貨幣と他の種の貨幣とを取り替える)
それに対し「代える」は別のものがその役をする、なりかわることを意味します。
- 入れ代わり立ち代り、背に腹は代えられぬ
- 肩代わり
- 部長に代わって、代理
- その代わり
- あいさつに代えて
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