騙すつもりで寄ってくる。「人は見た目が9割」を悪用する営業

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マンション管理組合としては、修繕工事など様々な経費はできるだけ抑えたいもの。しかし昨今は、こうした工事の見積もりなどを請け負うコンサル会社から、管理組合側が営業をかけられるケースも増えてきているようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、丁寧な印象の営業特有の落とし穴を記しています。

「人は見た目が9割」の脳の働きを利用する営業に注意

こんにちは!廣田信子です。

初対面の人と直接向き合って話をする場合、何に気を付けるか…についてコミュニケーション・接遇のセミナーで定番のように語られることがあります。

「人は見た目が9割」と言うように、脳は、目で見た情報で相手をどういう人か判断する傾向がある。「メラビアンの法則」というのがあって、人は相手の何から情報(印象)を受け取るかという実験の結果

  • 言語情報7%
  • 聴覚情報38%
  • 視覚情報55%

という結果が出ているので、話をするときは、その内容以上に、顔の表情、態度、話し方が重要、という話です。

かく言う私も、コミュニケーションについて学んだことがない方々が対象だと、短い時間で伝わりやすいので、つい、使ってしまいます。コミュニケーションで何が重要かを伝えるのに、何かエビデンスがあった方が…と思うためです。

ただ、管理組合内の人間関係は、初対面の印象ですべてが決まるものではないので、誤解を受けないように、いっさい使いません。仕事として管理組合の役員さんや居住者と接する方々にはまだ、この話、意味があるかな…。と思いながら、何だか自分の中に抵抗があります。

私が、コミュニケーションについて勉強しだしたのは15年前ぐらいからです。そのころは、脳の働きの特徴を知って、コミュニケーションを科学的に分析するのが流行りでした。それを、円滑な人間関係を築くことに活用すれば、お互いにプラスになる…はずだったのですが、最近は、それが、詐欺的な手法に利用されているようで、何だか、「人を見た目で判断しないで」…と思うことが増えたからだと思います。

高齢者に高額な商品を売りつける人は、大体、見た目の印象がよくて、話し方も感じがいいのです。で、脳は、それに騙されて「この人は、いい人」とレッテルを張ってしまう。そうすると、バイアスがかかってしまい、話す内容がおかしくても、それに気づかなくなるのです。

特殊詐欺もそうです。単純な詐欺は通用しなくなってきましたが、何重にも仕組まれた複雑な詐欺では、いかにも感じがよくて、私こそあなたの味方的な人が現れ、最後、ころっと騙されてしまうのです。

マンション管理の世界でも、いろいろあります。営業のプレゼンテーションに騙されてリプレイスしたら現実は全然違った。営業の人が感じがよくて、プレゼンがうまいので、ついコンサルに選んだら、業者との談合を仕組まれてしまった。そんな話をほんとうによく聞きます。口々に、感じがよくて、熱心そうで、資料が充実していて、話がうまいので、つい騙されてしまった…と。

でも、考えてみると当たり前かもしれません。管理組合向けの営業をする人も、
当然、人の脳の働きを利用します。どうアプローチすれば、相手に受け入れられるかを考えているのですから、お客が、見た目の感じのよさでまず印象を決め、人数を揃えてプレゼンすることで熱心さを図り、資料の分厚さで、サービスの質を判断する、という傾向が分かれば、当然、そこに力を入れるのです。騙されたじゃなく、相手の戦略に乗ってしまったということなのです。

だから、これからは、脳が、見かけの印象によって判断しがちという特質を知った上で、その印象で重要なことを決めすに、ちょっと冷静になって、相手の本質をしっかり見ましょう…とそこまで言わないとだめだな…。そう思いながら、研修の準備をしています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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