新型肺炎の「予測不能」が引き起こす、負の反応と第三次世界大戦

 

このような事態に際し、いろいろな陰謀論が渦巻いています。私も中国・武漢の生物兵器工場からの漏洩の可能性や、アメリカ・トランプ政権によるバイオテロ作戦について触れてきましたが、今や深刻な事態に陥っている国のリストを見た際、アメリカの関与の有無を疑いたくなります。中国とは貿易戦争を行うとともに、世界の覇権争いに臨んでいます。韓国と北朝鮮については、反米色が強まり、北東アジア地域におけるアメリカのプレゼンスを脅かす事態になっています。感染が急拡大し、死者数も日ごとに増え続けるイランは、核合意の問題を巡るトランプ政権との刮目を鋭意実施中です。

もし、これがアメリカによる作戦なのだとしたら、武力によって戦争に及ぶことなく、パンデミックという形でこれらの相手をつぶすことができます。そして、興味深いのが、武漢でのコロナウイルスの感染が拡大してすぐに、トランプ大統領が習近平国家主席に対して、いかなる支援も行う旨、述べたということです。ここには、新型コロナウイルスに対する医療的な支援、もしくは、ワクチン支援も含まれるようです。仮にそうだとしたら、自ら生物兵器を開発する際には並行してワクチンを開発するのは常ですから、何らかの形でのアメリカの関与が疑われます(実際には、中国はアメリカに謝意は伝えつつ、ワクチン開発については、ロシアと協力する旨、決定しました)。

しかし、死者数が2万人をはるかに超えたアメリカでの新型“インフルエンザ”の猛威を前に、別のシナリオも考えられます。もし、これが本当に新型インフルエンザなら、中国によるアメリカへの報復工作もしくはパラレルな工作という見解も、陰謀論を信奉するのであれば、可能な内容になってきます。ただ、実際には、これはインフルエンザではなく、コロナウイルスだったのではないか?との見方もあるため、今後、アメリカ政府とCDCがどのような見解を表明するか、非常に見ものです。

ただ、元凶と実行犯については、今の段階で問い詰めるよりは、まず広がる感染をいかに止め、封じ込めて、収束させるかが肝要です。

「エイズ治療薬の投与が有効だった」「富士フィルムの新型インフルエンザ治療薬のアビガンが有効らしい」という医療的な話から、「体を温めるとよい」「XXは免疫力を高めるからコロナウイルスにも効くはず」という内容のものまでさまざまな“噂”が流れていますが、実際に効き目がでるような薬剤や対策が確立されるには、早くとも6か月はかかるというのが専門家の見解だそうです。

これから6か月…そう、ちょうど日本ではパラリンピックの真っ最中です。そしてその前にはオリンピックが開催される予定です。IOCの委員の発言などを引用して「東京オリンピック・パラリンピックの中止、延期」といった話題まで出る始末ですが、これらはすべて【今回のCOVID-19による事態は、予測不可能】という事実に基づいており、“分からない”がゆえに引き起こされている心理的なネガティブな反応でしょう。

イベントの中止や延期の広がり、外出を控える動きと消費の減少、ネガティブ心理が影響する金融・株式市場のスランプ、そして隔離措置や入国制限・入国拒否の広がり…それらが経済活動を縮小させ、人の動きを抑制し、隣人への疑念の拡大に繋がり、そして、起きてほしくないですが、戦争の勃発へとエスカレートする可能性があります。

どの国とて、今は見えない敵に対してパーフェクトな対応はできていないですし、恐らくできないでしょう。そして、きっと過剰な反応や対応も行われていると思われます。しかし、これが偶発的な疫病の広がりであったとしても、何者かによるバイオテロが、実行者にさえ予測不可能な事態に発展している事態だとしても、間違いなく国際社会の硬直化を招いています。

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