武田教授が苦言。危険あおり数字操る日本のマスコミに騙されるな

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「クルーズ船の乗員・乗客を除く」と分けられていた国内の新型ウイルスの感染者数に関する報道が、クルーズ船の乗客も含む数に変わってきました。日本が不利になる情報を報道したがる「日本国内の反日マスコミ」に惑わされてはいけないと警告を発するのは、メルマガ『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』著者で中部大学教授の武田邦彦さんです。武田教授は、現時点での新型コロナウイルスとインフルエンザを数字で比較。さらに、このままの推移であれば、日本は感染者増加防止に成功すると伝えています。

数字で見るインフルエンザと新型ウイルス

中国の武漢(長江(昔は揚子江といった)のほとり)で2019年11月に発生した新型ウイルスは何がなんだかわからないうちに急速に拡散した。日本でNHKが「急速に感染が広がっている」というのは、1か月たって100人が200人になった程度だから「感染拡大」とは呼べず、これは誤報のたぐいだが、武漢では日本と全く違い、気が付いてみれば数万の人が感染し、周りは感染者ばかりという状態になった。

武漢で新型ウイルスの感染が急速に広がったのは、

  1. 一部の医師を除いて新型ウイルスの誕生を知らなかった
  2. 最初の発見から正月付近の大宴会の時期も誰も心配していなかった
  3. 1月初旬から感染が拡大し、1月末に1万人を突破した
  4. 中国は国を挙げて対策を急いだが初動の失敗が響いて、8万人を超えるまでにいたった

というような原因があり、また全世界は「新型ウイルスがどの程度の災厄をもたらす」かが不明のまま感染の恐怖にさいなまれた。

しかし、8万人の感染者を出した中国にしても、ごく一般的なインフルエンザに比較すると、まだ比較にならないほど感染者も死者も少ない。中国には正確な統計がないが、人口1億人余りの日本で流行年の感染者は1000万人、死者1万人であり、人口が3億3000万人(日本の約3倍)のアメリカが死者3万人、最大の年には6万人の犠牲者を出している。

インフルエンザの致死率が0.1%、新型ウイルスが1%程度とされているので、新型ウイルスの感染が人類に影響する度合いは、インフルエンザに対して10倍とすると、日本では1000人の死者が出る程度になるが、現在(3月10日)は9名に過ぎない。そして中国で発表されるデータでは、1月中旬に1日4000人の新規患者を記録した後、徐々に減少して現在は数十人の規模になっている。

最近は何事も忖度の文化になったので、「死者が少ない」などというと、「亡くなった方の悲しみがわからないのか!」と言われるが、数字は数字であり、事実を正確に把握することは犠牲者を少なくする意味で重要である。

つまり、中国での流行が約2か月で終わったこと、日本をはじめとした感染国の影響はまだインフルエンザの1000分の1ぐらいにしかなっていない、などの事実は、テレビ報道ではまったく触れられない。テレビは恐怖をあおって視聴率を高めることが目的であり、それは「感染拡大を防止する」という大義名分があるので、偏向報道にはならないという逃げ道がある。

でも、科学的に正確な報道が結局、危険を回避させるのであり、私たち国民はテレビがもたらす幻想に惑わされてはいけない。せめて受信料をとり国民の側で報道するNHKのニュースぐらいは正確で冷静な報道を望みたいものである。

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