新型コロナで「トンデモ発言」連発もトランプ支持率上昇の不思議

 

新型コロナ対応を55%が支持

【読売】は2面に、米国の世論調査についての記事。見出しから。

 「対応を支持」55%
 新型コロナ 前週より上昇

uttiiの眼

ABCニュースなどによる調査で、トランプ氏の新型コロナウイルスへの対応を支持する人は55%となり、前週から12ポイントも上昇。《読売》は「危機時の指導者として一定の評価を得たものとみられる」としている。不支持は43%。1週間で支持と不支持が逆転した形になっている。

当初、楽観的な見方を繰り返したとして批判されていたトランプ氏が、この間、経済対策などを発表し、また「私は戦時下の大統領だ」と語り、「国民に結束を促す手法が奏功した」という。

マクロン仏大統領も支持率を大きく上げたという。思うに、危機は権力者にとって支持率を上げる絶好の環境でもあるということだろう。失敗すれば支持の失い方も大きなものになるのだろうが…。世論調査で見る限り、トランプ氏は危機をうまく利用して支持率上昇を勝ち得たことになる。

ただ、《読売》の認識は、トランプ氏が非科学的な話を振りまくのを止め、経済対策など着実な政策で点数を稼いだように書いているが、実のところ、トランプ氏のトンデモ発言は止まっていない。55%という数字は何を意味するのだろうか。

大統領は何を考えているのか

【毎日】は《読売》の記事内容と鋭く対立する内容。6面にはトランプ米大統領についての「懸念」が書き綴られている。見出しから。

 米大統領誇張 混乱に拍車
 識者「改憲 生中継すべきでない」

uttiiの眼

大統領のこれまでの発言の中には「虚偽説明」や「科学的根拠に基づかない楽観論」があり、最高責任者が混乱に拍車を掛けているとする。そのことを20日の対策本部会合後の会見で「不安で脅える国民に何と言いますか」と問いかけた記者がおり、トランプ氏は「私のメッセージは、君が酷い記者だということだ」と切り返し、会見が大荒れになったという。

《毎日》は、現在のトランプ氏の動きについて分析を試みている。まず、ハッキリしているのは、トンデモ発言は止まっていないということだ。この日も、マラリアの治療薬「クロロキン」がすぐに使用可能になり「ゲームチェンジャーになる」などと言ってしまい、同席したファウチ博士(国立衛生研究所)に「事例証拠はない」と訂正されている。

そして、このところ連日のように記者会見を開いているのは、陣頭指揮を強調する姿勢に転じたためで、その中で誇張や先走りなどのトンデモ発言を連発している状態だという。トランプ氏にとってテレビ会見は「支持者に向けての演説」という意味合いがあり、大規模集会が打てない今、テレビ会見をその代わりにして、虚偽の「成果」を強調し、悲観的シナリオを否定して見せているのだと。さらに、新型コロナウイルスを「中国のウイルス」と呼び、「外敵と戦う指導者像を強調」することも忘れていない。

専門家は、現在の危機下では大統領が国民に誤った情報を伝えることが「生死につながる」と指摘。「メディアは演説や記者会見をそのまま生中継すべきでない」とまで言っている。米国の大統領は、自分の再選のためにはどんなことでも平気で口に出してしまう「危険人物」ということだろう。

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