「ナシ」と判明するまで基本「アリ」。男の悲しい性(さが)の話

2020.03.25
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by MAG2 NEWS編集部 u
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日常生活において不思議に思ったり、ちょっと気になったあれこれについて考察するメルマガ『8人ばなし』。著者の山崎勝義さんが今回俎上に載せるのは、女性が実際よりも美しく見えることを表現した言葉「夜目、遠目、笠の内」です。山崎さんは「よく見えないこと」がポイントであるとし、人間は不確定要素のあることに関して悲観的に予測する傾向にあるのに、それとは真逆の傾向を示す場合があることに面白みを感じています。なお、山崎さんにとって、いま街に溢れるマスク姿は「夜目、遠目、笠の内」には入らないようです。

『夜目、遠目、笠の内』のこと

「夜目、遠目、笠の内」。女性が美しく見えるというシチュエーションの三例である。この言い回しについて、辞書によっては「状況や背景の如何で女性の容姿は実際以上に美しく見えることがある」といった感じの意義記述がなされているのであるが、どうしてもそれでは不十分な気がしてならないのである。というのも、

  • 夜目=暗くてよく見えない
  • 遠目=遠くてよく見えない
  • 笠の内=笠がじゃまでよく見えない

と説明すれば分かる通り「よく見えない」ことこそが大切な要件なのであって、無条件に状況や背景次第とは言えないからである。試しに類似のシチュエーションを新規に挙げるなら、

  • 近眼=目が悪くてよく見えない
  • 帽子=つばがじゃまでよく見えない
  • 俯き顔=見ようにも顔がよく見えない

といったところが妥当な線である。仮に前述の辞書のような意義記述にならうなら、

  • 桜の下
  • 砂浜の上
  • 紅葉の内

なども挙げていい筈であるが、これらが当該表現との類似性を持ち得ないことは日本語スピーカーなら誰でも直観的に分かるところである。

それにしても「よく見えない」場合に好意をもってその全体像を補完するという心理はちょっと面白い。ただ、同じ「よく見えない」でも意図的に隠されている場合、例えばマスクやサングラスなどの装着時にはこの補完は働かないような気がする。たぶんこれはそこに見せられない事情のようなもの、例えば口角炎だとかものもらいだとかいったものの存在を感じるからではないだろうか。逆にそういう場合を除けばこの補正はもれなく発動すると言っていい。

それにしても我々人間は不確定要素のあることに関して常に楽観的という訳でもない。寧ろ(心を絶望から守るために)悲観的な予測を立てる傾向にあると言った方がいいくらいである。にもかかわらず女性(おそらく女性から見た男性も同様であろう)に対してのみ働くこの楽観は一体何なのであろうか。

これには生物学的観点からの説明が最も自然であるように思う。つまり異性は常に生殖の相手になり得るということである。相手としてこれはさすがに「ナシ」と判明するまでは基本「アリ」という訳である。

勿論、そうそう女の尻ばかり追いかけている訳ではない、とお怒りの方もいるであろう。しかしそんな人も周囲が暗くなって「よく見えない」状況ともなれば忽ちにこの補正の支配を受けることになるのである。考えてみれば、暗くなるということはそれだけ野生の状態に近づくということでもある。暗闇は人類にとって常に恐怖の元であり、また興味の元であったに違いない。

こんなことを考えたりなどしていると、目が悪い人がちょっとうらやましくなってくる。眼鏡やコンタクトを外すと視界がぼやけてしまう人のことがである。あまり視力が悪い訳でもない自分は、つい想像するのである。不謹慎にも想像するのである。視界が夜目同然にぼやけると普段見慣れた、あるいは見飽きた女性の顔もなかなかに美人に見えるのではないか、と。実際にこれを経験したという方、ご報告お待ちしております。

image by: Shutterstock.com

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