現在、そういった組織や機関が用いるのが、AI(人工知能)によるディープラーニング(深層学習)です。専門家によると、AIを用いて“だまされパターン”を学習させ、そのうえで効果的な攻撃パターンを編み出させ、実行に移しているとのこと。恐ろしい情報ですが、これこそまさにAI時代の犯罪ではないかと思います。
その性格がABCに続く大量破壊兵器としてのD(Digital)を生み出し、今や、A(核)、B(生物兵器)、C(化学兵器)をもコントロールする最大の脅威にまで成長しています。それらは、さまざまなセキュリティーシステムを破壊し侵食し、国の防衛システムや兵器の管理、金融や資金移動などのシステムを遠隔操作することで、大きな脅威を生むことが出来るようになっています。
皆さんもご記憶に新しいかと思いますが、ホワイトハッカーと呼ばれる“危機を知らせるために活躍するハッカー集団”が、GMの自動運転システムに入り込み、運転を完全に乗っ取った事例がありましたし、最近では飛行中の旅客機の自動操縦システムを不能にしたり、操縦を乗っ取ったりすることが可能であることが証明されました。
まだそれらが実際のテロに結び付いて成功した例は、運良くないですが、資金と技術を手にした“良からぬ考えを持つもの”が愚行に走った場合、それを止める余裕も、今、コロナウイルスの感染拡大に侵される各国にはないでしょう。少し脅威を過大評価していると思われるかもしれませんが、サイバーセキュリティの最前線ではすでに具体的な対抗策が検討されています。
コロナウイルスの感染拡大とまだ誰も予想できない国際情勢・国際経済へのダメージの裏で、着実に別のウイルスによる脅威が広がっています。
これらの脅威に対峙し、効果的に解決策を見出すためには、今一度、密接な国際協力体制が必要だと考えますが、私には、協調とは名ばかりの自国ファーストの流れがコロナによって加速されている気がしてなりません。
一日も早くコロナウイルスの感染拡大が収束し、世界をbusiness as usualに戻すことが出来るようになることを祈って、今週号を終えます。
皆さん、どうぞお大事になさってください。頻繁な手洗いをどうぞ徹底してくださいね。
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