北当局は、軍の食糧利権にも手を突っ込み始めた。デイリーNKによると、金正恩は食糧確保のための軍の農地を、労働党(内閣)と軍とで共同管理せよと指令を出した。軍に対してはそっとしておくのがいままでの北朝鮮当局であったのだが。
軍の中堅幹部に対する食料配給を、これから6か月の間、月に10日分だけ支給せよとの指示が出たという。ひと月は30日あるわけだからこれでは生きていけない。中堅幹部は下級からせしめるしかなく、軍がパニックになるのは時間の問題となっているようだ。金正恩のこうした対策は不正撲滅を謳いながら逆に不正の温床となっているという皮肉な結果を招来している。軍人の不満を増幅させているわけだ。これは朝鮮末期と同じ。財政難から軍人に対する俸給を遅らせて、しかもその俸給も砂の混じったコメで支給したため反乱を招いた1882年7月の軍乱の状況に似ている。勿論これくらいで北の軍人が反乱を起こすわけではないが、軍人らの金正恩に対する不満は確実に増大し忠誠心を低下させている。
次に、統治にかかせない外貨も底をついている状態という。朝鮮労働党「39号室」というところが外貨稼ぎの本拠地だ。ここで様々の外貨稼ぎやハッキングによる外貨収奪をやっており、軍からの上納金、トンジュからの徴収金、中国人らの観光収入によってもたらされた外貨をここで一括管理している。今回の新型コロナによる中国との国境封鎖により貿易が縮小。外貨獲得も大幅に減少している。1、2月の中朝貿易は前年比で3割減という。また北からの輸出は7割減という。輸出アイテムの稼ぎ頭である石炭や鉄鉱石の価格も暴落している。当局は、住民の外貨使用や闇両替を摘発して外貨を没収している。背に腹は代えられないとして中朝国境の封鎖も一部解除したという情報もある。
そんな中、金正恩が地方機関に物資の備蓄を指示した。トンジュには物資の買いだめを犯罪扱いしながら、地方には備蓄せよと指示。4月15日の韓国総選挙後に大々的に北が挑発するのではないかという推測が広がっている理由だ。
昨年11月から今年3月下旬までの北の軍事訓練で一番ポイントが置かれたのは射撃精度の向上。ライフル、装甲車、戦車などは勿論、放射砲(ロケット)から戦闘機の射撃にいたるまでさまざまな武器の射撃精度の訓練をした。この射撃訓練と地方への備蓄指令を結びつけると、「きな臭い」においも感じられないでもない。窮地に陥った金正恩が冒険主義に出てくる可能性は否定できない。総選挙後の北の動向に注目される。
※ 今回の記事は、自由アジア放送、デイリーNK、朴斗鎮ユーチューブなどを参考にした。
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